履正社(大阪)が秋4連勝で来年3月のセンバツを狙う。背番号1の左腕、増田壮投手(1年)が先発して5回無失点で、4番の冨安海来外野手(2年)も4安打3打点。投打の柱が躍動し、毎回の12得点で7回コールド勝ちを収めた。

完勝だが、岡田龍生監督(60)は厳しい姿勢を示した。「1、2、3番が無安打。光弘は夏から出るが(6回1死満塁で)ゲッツーになるから(その裏に)点が入ってしまう」と指摘。大量得点よりも試合の内容を問う。19年夏の甲子園の優勝監督は妥協しない。

増田は大リーグで往年の名投手ノーラン・ライアンばりに右足を高く上げる投法で相手を幻惑。「低めに集めてストライク先行で打たせることができた」。冨安は強振が持ち味だ。「1年生のとき(現DeNAの)小深田さんにお世話になった。フルスイングを貫いていて、それに憧れています」。攻撃的な姿勢を体現し、名門の意地を見せた。

岡田監督は22年4月から母校の東洋大姫路の新監督に招へいされ、履正社との協議が順調に進めば今年度限りで退任する見通しだ。試合後、去就について「僕どうこうはコメントしようがない」と前置きし「60歳だから定年退職になる自分の学校(履正社)のルールです。残っておられる方は再雇用で、あとは学校との交渉になる」と説明した。

この日は東洋大姫路も兵庫大会準々決勝・加古川西戦を2-0で勝利。「この前も1-0でしたよね。投手が2、3人、残っていますよね。なんとか頑張ってもらいたい」と話した。87年から指揮を執り、名門校に育て上げた。岡田監督にとっても、来年3月のセンバツへの道が集大成になりそうだ。【酒井俊作】

▽履正社・増田(5回2安打無失点)「低めに集めてストライク先行で打たせることができた。2年生がセンバツに出られるのは、この大会が最後。自分が抑えて勝っていきたい」

▽履正社・冨安(4回に左中間へ2点適時二塁打など4安打3打点)「1年生のとき(現DeNAの)小深田さんにお世話になった。フルスイングを貫いていて、それに憧れています」