中越が関根学園に6-1で勝ち16強入りした。エース小幡拳志郎投手(2年)が9回14奪三振の快投を見せた。1失点も自責は0。打たれた安打も1本で、公式戦初完投を鮮やかに決めた。

気迫をボールに込めた。小幡がうなり声を発し、投げた138球目。高めの直球ながら、関根学園・最後の打者のバットは空を切った。14個目の三振を奪って公式戦初完投。「今日は三振を狙っていた。気持ち良かった」。直球は6月に計測した時点で最速139キロ。チェンジアップ、スライダーの変化球を交えて奪三振ショーを演じた。

2回に四球と失策などで1失点(自責0)も、打たれた安打は3回に許した二塁打1本だけ。力投の裏には冷静な分析もあった。清水大夢捕手(2年)とベンチで対策を練っていた。「前の打席から相手打者の狙い球、苦手なコースなどを清水とベンチで確認し合っていた」。バッテリーの試合前の約束事は「コースに投げ分ける」だった。

本田仁哉監督(45)が小幡の姿勢を明かした。「終盤に(状態を)聞いたら『いけます、いけます』と気持ちが乗っていた。本人がいけると言ったので最後まで(投げさせた)」。4回戦以降に弾みをつける快投だった。

コロナ禍で出場辞退した今夏県大会はベンチ入りメンバーから外れていた。初戦2回戦(23日)の長岡高専戦で変化が鈍かったスライダーを練習で修正してのマウンドだった。

「9回投げ切ったことがなかったから、初完投は自信になった」。小幡は大きな収穫を手にした。【涌井幹雄】