大阪桐蔭が金光大阪に完勝し、3年連続10度目の優勝を果たした。先発の川原嗣貴(しき)投手(2年)が6回無失点。打線も11安打7得点と、投打がかみ合った。履正社は188センチの橘高純平内野手(2年)が2安打3打点の活躍を見せるなど星翔を5回コールドで下し、近畿大会出場を決めた。奈良大会は智弁学園が高田商を破り、2年ぶり19度目の優勝を飾った。

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まさに、逆襲の秋だ。大阪桐蔭は、先発川原が好投。序盤から丁寧に制球し、相手打線を寄せつけない。5回まで無安打無失点で「初回から攻めていく気持ち。変化球の低めへの制球がよかった」。3点リードの6回2死一、三塁ではスプリットを引っ掛けさせ、投ゴロ。狙い通りの投球で、6回無失点だった。

「前の甲子園とか、いろんな場面で投げさせてもらっている。(6回は)臆することなく攻めていけた」

試練を乗り越えた。夏の甲子園の近江(滋賀)戦。同点の8回に登板したが、連続与四球でピンチを招き、決勝打を浴びた。敗戦後は涙が止まらなかった。「どの球も投げられなかった。何とか乗り切ろうと思ったが、そう甘くなかった」。映像を見直した。「全部、球が甘くて体が開いて、シュート回転して真ん中に入って…。試合が終わって後悔しても遅い。甲子園の負けで、自分の中で何をしていいか分からなかった」。敗戦の責任を背負い、追いつめられた。

188センチの長身右腕を救ったのは、前チームのエース松浦慶斗(3年)や池田陵真主将(3年)の励まし。「お前の代はお前が引っ張らないと勝てない。お前はお前らしくやれ」。意地もある。準々決勝・関大第一戦も準決勝・履正社戦も出番がなかった。「何とかチームの勝利に携わろうと。甲子園の悔しい気持ちを持っていたから、今がある」。超強豪の大黒柱として、日本一奪回に向かう。【酒井俊作】