広陵が岡山学芸館を下し、19年以来3年ぶり25度目のセンバツ出場を確実にした。試合を決めたのは怪物1年生の4番真鍋慧(けいた)内野手だ。3回に同点打を放つと、7回は同点に追い付きなお1死満塁で「自分が決めてやろうと思った」と、真ん中直球を右中間深くまでかっ飛ばす走者一掃の適時三塁打。2安打4打点と暴れ回り、中国大会決勝に導いた。

真鍋は身長189センチ、体重88キロの左の長距離砲で、ニックネームは「ボンズ」。メジャー歴代1位の762本塁打の記録を持つバリー・ボンズをほうふつとさせる破壊力から、中井哲之監督(59)から名付けられたという。秋季広島県大会の3位決定戦から4番に定着。中井監督は主軸での起用について「打つからです。相手から見ても怖いと思う」と説明。加えて「良いものを持ってるけど、まだまだこれから」とさらなる成長に期待を寄せた。

兄の背中を追い続けてきた。4つ上の兄駿さん(20)は広島商のOBで、現在は法大野球部に所属している。高校で主将を務めた兄について、真鍋は「声だったりで、チームを引っ張る姿勢を尊敬してました」。広島商ではなく、広陵に進んだ理由は「ここで日本一を目指したい。兄を超したかったからです」と明かした。くしくも、駿さんが19年夏の甲子園2回戦で敗れた岡山学芸館を破り、センバツ切符をつかんだ。

高校通算7本塁打を誇る大砲の憧れの選手は、広陵OBのDeNA佐野だ。今季初めて全試合出場で2年連続打率3割をクリアした好打者で、真鍋は「長打も打てて、単打もしっかり逆方向に打てるので、そういうところを尊敬してます」。打撃フォームも参考にして取り入れている。

31日の広島商との決勝へ向け「自分の持ち味は長打力。長打を打って、絶対勝ちたい」と目をギラつかせた。“広陵のボンズ”が、チームを18年以来の秋季中国大会の頂点へと導く。【古財稜明】

◆真鍋慧(まなべ・けいた)2005年(平17)6月17日生まれ、広島市出身。みどり坂小1年時に、瀬野ソフトボールクラブでソフトボールを始め、瀬野川東中では広島安芸リトルシニアに所属。広陵では1年夏からベンチ入り。189センチ、88キロ。右投げ左打ち。