新型コロナウイルス感染のため、今夏の第103回全国高校野球選手権石川大会出場を辞退した星稜が14日、金沢市内の同校グラウンドで3年生の引退試合を行った。

3年生は伝統の黄色いユニホームを着用し、1、2年生チームと対戦。3-4で惜敗したが、OBのヤクルト奥川恭伸投手(20)からメッセージが届き、試合後に林和成監督(46)が代読した。

「3年生の皆さん、お久しぶりです。1、2年生の皆さんは関係なかった。初めまして、でしょうか。今日は3年生の最後の試合だと伺いました。今年は長く続いている新型コロナウイルスの影響により、大変、悔しい思いをしたのではないかと思います。しかし、挫折したあとには必ず得るものがあると僕はいつも思っています。今年の夏、石川県大会、画面越しではありますが、楽しく観戦させてもらっていました。3年生がとてもたくましく見えましたし、チーム全員が一丸となって一生懸命戦う姿に勇気をもらいました。もっと自分も頑張らないとと思わされました。そして、話は変わりますが、ここにいる仲間をずっと大切にしてください。僕はいまでも、高校の仲間に悩み事を聞いてもらったり、時にはふざけた話をしたりしています。卒業後もみんな仲良く、そんな関係でいてほしいと思います」

同校は7月20日の日中、野球部員を含む複数の生徒の感染が判明。その日のうちに、学校は県高野連に報告していた。今夏の石川大会は鶴来、羽咋に勝ち、8強に進出していた。同22日に遊学館と準々決勝を戦う予定だったが、感染者が複数だったため他の選択肢はなく、涙の辞退になった。ヤクルト奥川が3年時、1年生として、ともに戦った後輩への思いだった。今季はプロ初勝利など9勝を挙げ、クライマックスシリーズ最優秀投手賞にも輝いた男の粋なエールだった。