花巻東(岩手)が明治神宮大会初出場初勝利をつかんだ。国学院久我山(東京)との開幕試合を6-3で逆転勝ち。佐々木洋監督(46)の長男麟太郎内野手(1年)が、高校通算48号のソロ本塁打を含む3打点。3-3の7回には、選手宣誓の大役を務めた主将の田代旭捕手(2年)が、決勝打を放つなど3連続適時打で突き放した。エース左腕、万谷大輝(2年)は6、9回を除く7イニングで走者を背負ったが、粘って7安打3失点(自責2)で完投した。

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4番田代の一打が試合を決めた。佐々木の犠飛で追いついた直後の7回2死一、二塁。カウント1-1からしぶとく食らいついた打球が、ワンバウンドして投手のグラブをはじくと、遊撃手のグラブもかすめて中前へ抜けた。一塁上でベンチに向かってガッツポーズ。後続の小沢修外野手(2年)、千葉柚樹内野手(1年)も連続適時打を運び、この回、一気に3点を勝ち越した。

打線は取るべき人が得点を重ねた。佐々木、田代、小沢、千葉の3~6番が、そろって打点を挙げた。田代は「チームで6打点。3打点は麟太郎で、残りをチーム全員という形でした。(麟太郎は)欠かせない選手なので、2回戦以降も頼りにしながら自分たちも頑張りたい」。万谷も初回から粘りの投球。144球を投げ抜いて3失点完投した。投打がかみ合い、歴代の先輩が立てなかった場所で、待望の勝利をつかんだ。

青空の下、試合前には選手宣誓の大役を務めた。

プレーできる喜びをかみしめ、22日には高知(四国)と2回戦を戦う。強力打線を誇る花巻東が、初出場初優勝に向けて、さらにギアを上げる。【山田愛斗】

<田代主将の宣誓>

宣誓。新型コロナウイルスの感染拡大により私たちの生活は一変しました。日常生活がままならず、つらい思い、悲しい思いをした方々がたくさんいます。その中でも私たちは野球ができています。感謝の気持ちを忘れません。2年ぶりの開催となる明治神宮野球大会。大学、高校が集うこの格式ある大会において各地区、連盟の代表という自覚を持ち、対戦校に敬意を払い、2年ぶりの思いを力に変えて、熱い戦いを繰り広げることを誓います。令和3年11月20日、選手代表、花巻東高等学校硬式野球部主将、田代旭。