「野球がすき!」という気持ちは、みんな同じ。そこに、障がいは関係ない。

知的障がいのある生徒が、高校野球の甲子園大会が懸かる地方大会出場を目標に参加する「甲子園 夢プロジェクト」で29日、慶応(神奈川)野球部の選手と交流が行われた。本来はグラウンドで合同練習を行う予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オンラインに変更。元ロッテの荻野忠寛氏(39)も参加した。

「どんな交流会になるんだろう?」というワクワク感が、画面ごしに伝わってきた。

知的障がいのある生徒たちと、センバツ8回、夏の選手権18回の出場を誇る強豪・慶応の選手、合わせて約100人が集まった。私服の上にユニホームを着て、帽子をかぶって登場したのは、慶応の久保田翔己捕手(2年)。写真や動画を使いながら、笑いを交えて普段の学校での様子や、野球部の練習風景を紹介。練習メニューを選手が考える「自主性」などを説明した。

「夢プロジェクト」に参加する選手も、腰椎分離症や姉の死を乗り越えて「グラウンドに立てて、みんなで野球できる喜びが大きく、楽しかった。みんなとやる野球は楽しかった。声をかけあって、応援する楽しさを知りました」と思いを伝えた。

約2時間、交流した選手たち。久保田捕手は「今回、交流する機会をいただいて、まずは楽しかった。あとは、野球に対する気持ちは(お互い)全く変わらなくて、ケガを悩んでいるのも同じだなと思った。交流できてうれしく思っています」と話した。

「夢プロジェクト」の発起人である都立青鳥特別支援学校の久保田浩司先生は「実りのある会だった。中身の濃い、意見交換ができました」とまとめた。

慶応の選手からも、「夢プロジェクト」の参加選手からも、最後に出てきた言葉は「真剣勝負」だった。3月に延期となった合同練習に向けて、久保田捕手は「交流してみて、自分たちとみなさんの垣根がないことが共有できたので、グラウンドではお互い真剣勝負で」ときっぱり。グラウンドでの真っ向勝負を誓い合った。そこには、野球がつなぐ絆ができるはずだ。