春に向けた選考レースはすでに始まっている。第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)に出場する聖光学院(福島)が5日、いわき市内のグラウンドでセンバツのベンチ入りメンバー選考を兼ねた「サバイバル紅白戦」を実施。1、2年Aチーム(1軍)の選手がしのぎを削った。「1番中堅」で先発した狩野泰輝外野手(2年)が初球先頭打者アーチ。昨秋の県大会は背番号「9」も、東北大会では「19」。1度はつかみかけたレギュラー定着へアピールした。

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「レギュラー奪取」を誓う狩野が号砲を打ち鳴らした。0-1の初回。内角に甘く入ってきた初球のカーブを強振。打球は放物線を描きながら、左中間芝生席ではずんだ。「感触は良かった。内角から入ってくる高めの変化球に反応することができた」と納得の表情で振り返った。センバツ決定後初の甲子園メンバー「18枠」をかけた「サバイバル紅白戦」。会心の一打で好スタートを切った。

歓喜と悔しさを味わった秋を糧に飛躍を期す。チームは昨秋、東北大会準優勝で4年ぶりのセンバツ切符をつかんだ。狩野は県大会は背番号「9」だったが、東北大会では「19」とスタメンを逃した。「悔しさはありました。(秋は)ここぞの勝負強さがなかった」と気持ちの未熟さを痛感。弱気な自分を打破するために初球から積極的にバットを振っていくことを心がけ、その結果、2年夏の紅白戦以来となるアーチにつながった。

チームNO・1を誇る身体能力を持ち、誰もが認める努力家だ。居残り練習は秋以降からの日課で夜11時まで汗を流すこともある。納得するまで妥協は許さない。狩野は「『絶対にレギュラー』を取ってやるくらいの気持ちでやっている」と沸き立つ闘志をたぎらせた。

成長は目に見える形で表れている。今冬はチームの課題である「打撃力向上」に努めながら、1日4食で計6合の白米をかき込み、体重は約9キロ増の78キロとスケールが一段と増した。「ラストシーズンなので、誰よりもこの1年にかける思いは強く持ちたい」と決意を示す。春の夢舞台で大輪の花を咲かせるため、最善を尽くす。【佐藤究】