初戦から好投を続けていた明秀学園日立のエース・猪俣駿太投手(3年)が、最後に力尽きた。同点で迎えた9回裏1死一、二塁。7番の米田天翼投手(3年)に投じた4球目。右中間に運ばれ「あ…」マウンド脇にしゃがみ込んだ。サヨナラ打に「悔しい…それしかありません」と声を振り絞った。
【ニッカン式スコア】市和歌山-明秀学園日立の詳細速報
エースの意地がぶつかり合った。8回を終え、球数は同じ124球。米田の被安打は8、猪俣は5本で息詰まる投手戦だった。9回裏、直接対決でほんのわずか、猪俣の気持ちが揺れた。「抑えにいくよりも、打たせて取る投球をしてしまった。逃げに回ってしまったのかな…。真っすぐで押せなかった」。真っ向勝負を避けフォークを選んだ。「攻めきれなかった」と、1球を悔いた。
初めての大舞台で成長も見せた。テンポよく力のある直球にキレのある変化球を制球良く低めに集めた。「でも、米田君は相手を見てしっかりどの球種、どのコースを投げるかを考えて投げられていた。自分は配球の組立てが悪かった。それができないと通用しないことがわかった」と振り返り「(良かったことは)最後まで今日は投げきれたことくらいです」と米田との差に脱帽した。
小さいころから、野球も遊びも全力投球。母睦美さん(43)は「やると決めたらとことん最後までやる子でした」と振り返る。甲子園を目標に、生まれ育った福島・会津若松市を離れ、大舞台にたどり着いた。次の目標は甲子園優勝。「好投手と投げ合えて得るものが多かった。組立て、球の力強さ。見習っていきたい。勝てる投手になりたいです」。悔しさを糧に夏へ。強い信念を胸に、夏へ向かう。【保坂淑子】

