大阪桐蔭がまた「異次元の戦い」で決勝進出を決めた。19安打を放ち、2戦連続2桁の13得点。9-0の6回無死一塁。プロ注目の松尾汐恩(しおん)捕手(3年)が高め速球を仕留めた。白球は左翼席へ。とどめの2ランで覇気を見せた。

「前半は思う通りの打撃をできないのが続いていました。トップが入りすぎる癖がある。入れすぎずバットを出すことを意識した」

今大会2戦は6打数1安打で本調子ではなかった。この日は4安打。昨夏の甲子園で近江・山田にアーチを浴びせ、夏春連続の本塁打だ。決勝前に修正。大一番を前に役者がそろった。

野球への情熱は誰にも負けない。年末年始は京都府内の実家に帰省。つかの間の休息でもリビングルームにバットの音を響かせた。「ブンッブンッ!」。父太志さんがくつろぐ頭上で素振りを繰り返した。ひと冬で約3キロの体重増。パワーアップし、本領発揮だ。

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開幕直前にコロナ禍で出場辞退した京都国際の森下瑠大投手(3年)は中学時、しのぎを削った。大会前に「お互い頑張ろうな」と声を掛け合っていた。友の無念をひと振りに込めた。

休養日の29日、練習時に星子主将が仲間に伝えた。「原点に返ってセンター返しを」。1戦6発の直後の試合だ。大振りを戒め、実践した。決勝は昨夏の甲子園で敗れた近江が相手だ。昨秋の明治神宮大会も制した西谷浩一監督(52)は「秋春と大きな山に登って、最後は春の山を登り切りたい」と気合。甲子園の借りは甲子園で返す。投打ともに死角は見当たらず、4年ぶりのセンバツ王者を狙う。【酒井俊作】

◆決勝は近畿勢同士 センバツ決勝が近畿勢同士は18年大阪桐蔭5-2智弁和歌山以来10度目。

◆神宮大会優勝校の決勝 昨秋の明治神宮大会を制した大阪桐蔭が決勝進出。神宮王者の決勝進出は17年履正社以来8校目。84年岩倉、98年横浜、02年報徳学園に次ぐ4校目の秋春連覇を狙う。

◆昨夏VTR 2回戦で対戦し、大阪桐蔭は松尾の本塁打などで2回までに近江・山田から4点を奪った。近江は3回にスクイズ、4回に新野のソロなどで追い上げ、8回2死満塁から山口の2点二塁打で勝ち越した。大阪桐蔭の4点差以上逆転負けは甲子園で初めてだった。