「春1勝」をつかみ、好スタートを切る。昨秋東北大会4強の八戸工大一(青森)が今日17日、今季初公式戦となる春季八戸地区大会準々決勝で八戸北と対戦する。昨秋の15年ぶり4強に投打で貢献した広野風雅投手-葛西凜捕手(いずれも3年)が「日本一無口なバッテリー」から成長した姿を見せ、地区王者への原動力となる。

頼れるエースと正捕手が、実力校をけん引する。前日16日、同校グラウンドで調整した広野が「1球1球集中してバッターを抑えていきたい」と意気込めば、葛西は「春も1番にならないと夏も1番になる可能性が低くなると思う。1戦1戦大事にして優勝目指して頑張りたい」と続いた。勝ち上がれば、春の東北大会に続く5月の地区予選や県大会に向け、前哨戦の王者は譲らないつもりだ。

あと1歩で逃したセンバツ。悔しさが2人の意識を変えた。昨秋、広野は9試合で60回2/3を投げ54奪三振、防御率は1・04。葛西はチームトップの打率5割1分4厘、2本塁打11打点と結果を残したが、チームは東北大会準決勝で花巻東(岩手)に延長10回サヨナラ負けした。長谷川菊雄監督(45)は「秋は日本一無口なバッテリーみたいな感じだった。いいところまでいって負けたことで『変わらないとあかん』と実感したと思う」と評価し、一冬の成長を感じている。

今冬は土台からきっちり鍛えた。広野はどんぶり3杯の白米を食べ、風呂あがりには柔軟を徹底。体重は昨秋から4キロ増えた。最速141キロ右腕は「ボールに力が伝わるようになった」と話す。この日、打撃練習で快音を響かせた5キロ増の葛西も「打球が強くなったり、スローイングが安定してパワーがついてきた」と手応えを示した。広野が抑えて葛西が打つ-。前向きな姿勢とプレーで仲間を先導する。【相沢孔志】