プロ注目の最速149キロ右腕、盛岡中央・斎藤響介投手(3年)が今季公式戦初戦で上々のスタートを切った。5回2安打無失点の快投。初回先頭と5回最後の打者を三振で抑えるなど、4連続含む毎回の10三振を奪った。2回の第1打席では適時打を放って自らを援護。チームは盛岡南に10-3の7回コールドで勝利し、県大会出場へあと1勝に迫った。

完全体ではなくても、斎藤がゼロで抑えた。9-0の5回2死一塁。フルカウントからこの日の77球目、相手1番を142キロ直球で空を切らせた。小走りで淡々とベンチに引き揚げ、お役御免となった。「自分的にはいい力感でボールがいった気がします」。力任せにならずに5回2安打無失点の好投。「初戦で緊張もあったが、試合に入ってからは徐々に緊張もほぐれ、強い球もいくようになった」。尻上がりに調子を上げた。

10奪三振にも満足感はない。この試合は最速143キロの直球、スライダー、公式戦で初めて使ったフォークとチェンジアップを交えて翻弄(ほんろう)したが「少し高めに浮いた球を振ってくれた感じだった。次はゾーンでの三振を増やしたい」。初回に先頭打者を116キロ変化球で見逃し三振にした以外は、すべて空振りかつ136キロから142キロの直球で仕留めた。

昨秋は学校内で新型コロナウイルス陽性者が複数人出たことにより、県大会初戦は不戦敗で幕を閉じた。今年もコロナの影響を受け、3月30日から4月8日まで活動休止。十分に練習を積めず、地区予選初戦までに対外試合ができたのは、大会1、2週間前の土日4日間だけだった。

斎藤も投げ込み不足で本番を迎えた。「今日は少しバランスが悪かった」と反省。それでも奥玉真大監督(47)は「自分の力を過信することなく、いい意味でいろいろコントロールしながら投球し、昨年からすごく成長した」とたたえた。

競技は違えど、偉大な先輩に続く。2月の北京五輪でノルディックスキー・ジャンプのノーマルヒルで金メダル、ラージヒルで銀メダルを獲得した、小林陵侑(25)は盛岡中央OBで、初戦が行われた八幡平市出身だ。「僕も次に立ちたいというか、盛岡中央からプロ野球選手になりたい」と夢を抱く斎藤。大ジャンプばりの快投を夏まで続けていく。【山田愛斗】

◆斎藤響介(さいとう・きょうすけ)2004年(平16)11月18日生まれ、岩手県滝沢市出身。滝沢小3年時に竹の子スポーツ少年団で野球を始め、滝沢中で軟式野球部。盛岡中央では1年夏からベンチ入り。憧れの投手はオリックス山本由伸、ヤクルト奥川恭伸。家族は両親と姉。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。