奈良大付が天理に打ち勝ち、9年ぶり2度目の優勝を果たした。県内では天理と智弁学園が長らく2強だが4年ぶりの甲子園を狙う夏は台風の目になる。

「全員が強気を出す。自分に勝つ。主役は君たちだよ」。田中一訓監督(48)はそう掲げる。強豪ひしめく近畿地区、奈良県にあっても「相手は関係ない。自分たちが殻を破って上に上がることだけが目標です」と着実な成長を促す。

「みんな優しい」という3年生。昨秋は準々決勝で高田商にサヨナラ負け。おとなしい坂東泰樹主将を中心に3年生は「鬼になって声かけをした」(同監督)。「秋は自覚が足りなかった。少しは引っ張れるようになった」と板東。芽生えた積極性は打撃にも表れた。幡剛志投手(3年)が2ラン、坂東もソロ弾を放ち、先発全員の13安打。天理のおかぶを奪う猛攻だ。強豪が居並ぶ近畿大会でも、迷いないスイングを披露するつもりだ。【柏原誠】