昨秋県準優勝の久慈東が好発進した。プロ注目の最速149キロ右腕、斎藤響介投手(3年)擁する盛岡中央を9-1の8回コールドで下し、初戦を飾った。エース左腕、高橋桜介投手(3年)が8回1失点。打線も9安打、6四球、5盗塁を絡めて斎藤を攻略した。新型コロナウイルスの影響で県北地区予選1回戦は不戦敗も、敗者復活戦で県切符をつかんだ。チャレンジャー精神で上昇していく。

久慈東・高橋が120球を投げ抜いた左手で、渾身(こんしん)のガッツポーズを作った。8点リードの8回2死一塁。相手8番を右飛に打ち取り、最少失点で試合を締めた。8安打を浴び、毎回走者を背負う苦しい展開。それでも、コースに投げ分けて、凡打の山を築いた。「初回からテンポ良く、自分のピッチングができて良かった」。盛岡中央・斎藤の12奪三振に対して2奪三振。持ち味の打たせて取る投球を貫き、勝利を手にした。

打線は立ち上がりが不安定だった斎藤を攻め立てた。初回に4番村上琉紀内野手(3年)の先制打、笠嶋勇登外野手(3年)の適時打で2点を先行。4回に2点、7回に1点、8回に4点と好機を逃さなかった。中村健監督は「斎藤君という良い投手と対戦できるのを本当に楽しみにしていた。150キロ近いボールを投げる県内で一番のピッチャーなので、一冬かけて準備してきた。選手たちはよくやってくれたし、練習の成果が出た」と力を込めた。

盛岡地区予選3試合で計17回1/3無失点の好投手から9点を奪ってみせた。「速球が打てないと勝負にならない」(中村監督)。今冬は体作りに加え、スイングスピードを上げ、直球に振り負けずにボールを捉える練習をし、速球への目慣らしも行ってきた。実際に「対斎藤」が決まったのは13日だったが「予習」の成果を発揮した。

昨秋の県大会は快進撃を続けた。決勝では花巻東に9-19と大敗したが、準優勝。東北大会にも出場した。村上は「秋の準優勝はリセットして挑戦者の気持ちでやっていきたい」。敗者復活戦から勝ち上がってきた久慈東が、コツコツと勝利を目指す。【山田愛斗】