エッ、コールドやんな? 昨夏の甲子園優勝校の智弁和歌山(和歌山1位)が猛打で圧勝した。勝負を決めたのは4点リードの6回だ。安打を重ね、9点差に開き、なおも2死三塁。主将の岡西佑弥内野手(3年)が右前適時打で10点差に広げ、6回コールド勝ちが決まった。電光掲示板にも試合終了を告げる「6X」が表示されたが、両校ともにきょとんとグラウンドに一瞬、立ち尽くしたまま、時間が止まった。直後、整列したが、珍しい光景だった。

大会規定では5回以降10点差、7回以降7点差でコールド試合になる。主催担当者は「(各府県大会と規定は)同じです。この大会もコールドがあるか、一瞬迷ったのでは」と説明していた。各府県と同じルールだが、近畿大会になって戸惑いが生じたとみられる。ともあれ、智弁和歌山の打力が際立った。11安打10得点。中谷仁監督(43)は「最近の試合、練習試合で打線がつながらなかった。その流れをキャプテンが(1回の先制適時打などで)切ってくれた」と振り返った。この日6回無失点の好投を演じた塩路柊季投手(3年)も気合だ。

「自分たちは春よりも夏を目指しています。夏に(甲子園)連覇できるのは自分たちだけ。去年の先輩たちのように、いい形で終われるようにやりたい。日ごろから監督に『これじゃ大阪桐蔭に勝てないよ』と言われている。最近は、選手同士でも言い合っている」

中谷監督は97年ドラフト1位で阪神に入団。巨人でもプレーするなど経験豊富だ。一方、西城陽(京都)は04年ドラフト自由獲得枠で横浜(現DeNA)に指名された染田賢作監督(39)が指揮を執る。中谷監督は鮮やかな初戦勝利でプロ出身の“ドラ1”監督対決を制した。今春のセンバツを優勝した大阪桐蔭が今大会で勝ち上がれば、29日予定の決勝で激突する。まずは幸先よく大勝発進した。【酒井俊作】