県2位で出場した和歌山商は大阪桐蔭に歯が立たず、7回コールド負けを喫した。

1年生の木村健太郎投手(1年)が先発投手に抜てきされた。小柄な右のサブマリンは、智弁和歌山との県大会決勝でも先発して4回1失点。敗れはしたが3-4の接戦に持ち込む力投を見せていた。

田中誠蔵監督(63)は同じように全国屈指の打線には有効と踏んで送り出したが、初回に失策からピンチを招いて先制3ランを浴びた。2回もたずに小川侑汰内野手(3年)を救援に送った。

監督は「立ち上がりですね。かなり緊張していてボール先行になり、取りにいったところをたたかれた。これだけ守備の時間が長いと、攻撃につながらない」と悔やんだ。チーム内で守備時間を3分以内に収めてリズムを作ることを目指してきたが、王者の前ではなすすべがなかった。

監督は試合前からナインに貴重な機会と訴えた。「日本一のチームと公式戦ができる。いろいろな勉強をしよう。能力が違うんだから、一生懸命にやって、見ている人が感動するような試合をしよう」。

現実は厳しい。左腕小川は大阪桐蔭の勢いを1度は食い止めたが、2回り目にはアジャストされた。ほぼノーエラーで勝ち進んできた堅守もほころんだ。

攻撃では4回に先頭から連打が出たが、判断を誤って本塁突入してアウト。直後にはライナーでの飛び出しもあり、好機は一瞬でついえた。あとは大阪桐蔭・川原嗣貴投手(3年)に白旗状態だった。

田中監督の敗戦の弁は、ほとんどが大阪桐蔭への賛辞になった。「すべてにおいて隙がない。やはり日本一です。対応力が違います。和歌山でも(市和歌山)米田投手や(智弁和歌山)武元投手ら速い投手とやってきましたが、和歌山のチームとは精度が違った。負けたけど得るものは大きかったです」。

松尾一志主将(3年)は悔しさを押し殺して、夏に目を向けた。

「この経験は無駄にできない。財産にします。和歌山で大阪桐蔭と試合ができることはあまりない。夏はどこも投手力が上がってくるので、こういう投手を打たないと勝てない。走塁でも常に前の塁を狙ってきて、守っていて重圧があった。観察力も見習わないといけない。僕たちがやるべきことは明確になりました」。

智弁和歌山に加え、市和歌山と和歌山東のセンバツ出場組がいる今年の和歌山。この大敗を2カ月後に生かさなければならない。【柏原誠】

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