仙台育英対東北の今季2度目となる「黄金カード」を仙台育英が8-1で制し、春3連覇を成し遂げた。

中部地区予選決勝では5点を許した東北を仁田陽翔(2年)、古川翼(3年)、高橋煌稀(2年)、鈴木晶太(3年)の継投策で1失点に抑えた。打っては6回に打者一巡の猛攻。打線が投手陣の奮闘に応え、5回まで0-0の均衡を崩した。

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「今日初めてこの大会で長いイニングを投げさせてもらいました」。2番手古川は県大会で2度登板したが、いずれも2イニング以下。この日は4回2/3と、いつもの倍以上を投げたが、3安打1失点にまとめた。古川は自身の投球を「野手を動かして守って捕るという本来の自分の投球は要所でできました。一方で真っすぐが走っていない、失点したイニングなど課題も多く残ります」と厳しく評価した。

古川は「1人1人がマウンドで投げる以上は『その場に立っている人がチームのエース』だという認識でみんなやっている」。投手陣全員がエース。だが「背番号1は、ほかとは印象が違うと思う」と、自分がつけている背番号「1」の重みを感じている。「自分が出ることでチームの雰囲気が上がったり、チームとして試合の流れが変わるような投球ができれば、エースにふさわしいと思います」。来る東北大会と夏に向けて「まだまだこれから。修正して東北大会、夏に向けてもっとできるかなと思います」と意気込んだ。

春3連覇にも須江航監督は「収穫と課題がはっきりして、良い練習を積むきっかけになった」と冷静。収穫は「控えに甘んじていた選手たちの活躍」だ。6回のビッグイニングの火付け役となった住石孝雄(2年)や4番を任された森蔵人(3年)が、冬の練習の成果を発揮。チームの底上げに一役買った。指揮官は「打順、攻め方のバリエーションが出ました」と収穫を喜んだ。一方で、プレーの精度が甘いことが課題だ。指揮官は「強豪校は軽率なミスを許してくれない」と気を引き締めた。底上げされた戦力に加え、けがで離脱中の主力選手の復活と、プレーの精度を高めることが夏本番への大きな自信となる。【濱本神威】

○…東北・富沢清徳監督は、「あのビッグイニングがすべてだった」と振り返った。5回までは0-0と拮抗(きっこう)した展開。だが、6回1死満塁で先発の小倉勝貴(3年)が押し出し四球。先制点を許すと、立て続けに適時打を許し5失点。指揮官は「2点取られたところで代えるべきだったのかなという反省がある」。その反省点を生かし、我慢強く戦えるチームを今後つくっていく。