第104回全国高校野球選手権神奈川大会(7月9日開幕)の組み合わせ抽選会が11日、横浜市内行われた。公立校の藤沢清流は今春4強入りを果たし、創部初の第1シードを獲得した。キーマンはエース左腕の木島直哉投手(3年)。春の勢いそのままに、90年横浜商以来、公立勢32年ぶりの夏頂点を目指す。

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私学を倒して甲子園へ-。藤沢清流が32年ぶりの快挙に挑む。昨秋は16強入りすると、今春は立花学園など私学を倒し、2010年の創部以来最高の4強入りを果たした。第1シードで迎える夏。快進撃の中心に、絶対的な存在がいる。

身長185センチ、体重89キロ。高校生離れした体格を持つ、エース木島だ。「体が大きくて、自分に合う体操着がなかったくらい」と、幼稚園ですでに身長が120センチあったという大物は、最速135キロの直球、楽天松井裕樹の握りを参考にした自信のスライダーを組み合わせ、打者を打ち取る。打っては3番を担い、チームトップの高校通算12本塁打を誇る強打者でもある。

打倒私学を果たした先輩たちに憧れ、入学した。木島は言う。「慶応を倒したのは大きいです」。入学する1年前の19年春、藤沢清流は前年秋4強の慶応を破った。中学生の木島の心に強烈な印象を残した。

春は私学に敗れ、悔しい思いをした。準決勝の桐蔭学園戦は、2-10の8回コールド負け。「横浜スタジアムにのまれました。守備陣も5失策くらいして…。強豪を相手にするメンタルの弱さも痛感しました」。イメージトレーニングの量を増やし、リベンジに燃える最後の夏。「もう1度、横浜スタジアムで投げたいです」。今度こそ本来の姿をみせる。

初戦は磯子工対浅野の勝者と対戦する。くじを引いた田嶋陽人主将(3年)は「新チーム発足時から夏の4強にこだわっています。その先は自分たちの力がどこまで試せるのかチャレンジになる。楽しみたいです」と話した。東海大相模、横浜、桐光学園…。高くそびえる神奈川の強豪私学たちに、部員64人の公立校が挑む。【阿部泰斉】

▽藤沢清流・榎本正樹監督(慶応を破った19年のチームと比較し) 野球にひたむきな代でした。今年もあの代に似ている部分はある。野球にポジティブな姿が重なります。

◆木島直哉(きじま・なおや)2004年(平16)5月16日生まれ。神奈川県出身。小1からユメノベースボールクラブで野球を始める。小6で名古屋に引っ越し、高校入学と同時に神奈川に戻る。目標とする選手は中日大野雄大。好きな有名人は平野紫耀。50メートル走7秒2。遠投90メートル。身長185センチ、体重89キロ。左投げ左打ち。