第104回全国高校野球選手権岩手大会(7月8日開幕、同22日決勝)の組み合わせ抽選会が23日、盛岡市内で行われた。コロナ禍以前の大会形式に戻りつつある今夏は66校59チームが出場。開会式では入場行進が行われ、一関工の阿部翔悟主将(3年)が選手宣誓の大役を務める。また大会を通して一般客、控え部員、保護者、応援団の入場やブラスバンド演奏も認められる。昨夏準優勝で今春の岩手王者・花巻東が優勝候補筆頭で、ライバル盛岡大付は2連覇を目指す。

第1シードの花巻東は3年ぶり11度目となる夏の甲子園出場に向けて一戦必勝を貫く。初戦(2回戦)は7月13日に花巻農-黒沢尻北の勝者と対戦する。抽選会後に今大会へのイメージを膨らませた田代旭主将(3年)は「相手が明確になってきたことによって、チームのモチベーションは上がったと思う。夏までの少ない期間をどう過ごしていくかが分かり、いい抽選会になりました」と力を込めた。

司令塔の捕手を務めながら4番としては高校通算50本塁打を誇る。3番で同71本塁打の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手と「121発コンビ」を形成。春の県大会4試合で計46得点の強力打線をけん引する。「4番である限りは調子の波を作ってはいけないし、もしそれがあったとしても、最低限でも犠牲フライやヒットでつないでいきたいです」。常に得点に絡み、勝利をもたらす覚悟だ。

今月行われた東北大会ではまさかの初戦敗退を喫した。東北(宮城)に1-3で惜敗。散発2安打で1番から9番まで切れ目のない打線が売りの花巻東らしさは影を潜めた。「春の東北大会では打てない日もあるというのが分かりました」。チームとして犠打や走塁など小技にも注力。ボール球をしっかり見極める選球眼を磨き、1点によりこだわる。その上で「バッテリーを中心とした野球で守備からリズムを作り、攻撃につなげていきたいです」。東北大会での1敗を今夏への糧にする。

昨秋、今春と県大会では2季連続優勝を果たした。それでも「目の前の相手にまずは集中し、優勝はもちろん目指していますが、上を見すぎずに一戦必勝で頑張っていきたいです」。花巻東のチームスローガン「岩手から日本一」を果たすために険しい戦いを1つ1つ乗り越える。【山田愛斗】

○…昨夏の甲子園で16強入りした盛岡大付は95、96年、03、04年に続いて3度目の2連覇に挑む。初戦(2回戦)は13日に宮古商工-平舘の勝者と対戦する。中沢舟汰主将(3年)は「2連覇がかかるのは自分たちだけだが、先を見ずに目の前の試合に集中していきたいです」。今春の県大会で準優勝も、決勝は花巻東に2-21で大敗。攻撃面では甘いボールを1発で仕留めること、守備面では四球や失策をなくすことをテーマに練習に励んでいるという。県内最多を更新する12度目の優勝へ「伝統の打ち勝つ野球で夏は勝っていきたいです」と意気込んだ。

○…一関工・阿部翔悟主将(3年、選手宣誓役に決まり)「今大会が素晴らしい大会になるために精いっぱい努めてまいります。自分の成長に関わってくれた家族、指導者の方々にも感謝の思いを伝えたいです」