今春の県大会を制し、今夏も優勝候補として栃木11連覇に挑む作新学院には、頼もしいキャプテンがいる。桜井叶翔(かなと)捕手(3年)だ。「挑戦者として戦っていきたい」と最後の夏を見据えた。

桜井主将には永遠の「ライバル」がいる。矢板中央(栃木)のソフトボール選手、鈴木菖さん(3年)だ。鈴木さんの兄蓮さんは作新学院野球部OBで、20年のチームのキャプテンを務めた。ソフトボールと野球、フィールドは違っても、お互い小学生の頃から互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

昨夏は栃木大会でV10を飾った。2ケタ連覇の金字塔の歓喜に沸いた一方で、ベンチに桜井の姿はなかった。1年秋にベンチ入りするなど順調なスタートを切ったが、その後は肘の故障が続き、2年時は春夏とも長期離脱。背番号をもらえなかった。

昨秋の新チーム発足から主将を任されたが、思うようなプレーが出来なかった。「試合に出られないのにキャプテンでいることがつらかった」。口だけのキャプテンと思われないよう、野球の勉強をして指示を出せるようにしたことが、正捕手を務める上でも役立っている。

鈴木さんは今春、エースとして3年連続3度目の全国大会出場を決めた。桜井は「おめでとう」とメッセージを送ったが、それと同時に「負けていられない」というライバル心が湧き起こった。「甲子園に行って終わりではなく、1戦1戦レベルアップしていきたい」。11大会連続の夏制覇へ、キャプテンがチームを優勝に導く。【星夏穂】