春季県大会8強の村上桜ケ丘の打のキーマンは佐藤陽翔遊撃手(3年)だ。1番に入った春季県大会では打率5割3分3厘をマークした。実力を買った松田忍監督(72)はこの夏、3番に抜てきする。初戦(2回戦、13日)は佐渡総合と対戦。チャンスメーカーがポイントゲッターになって、悲願の甲子園初出場へチームをけん引する。

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コンパクトなスイングで佐藤は正確にミートを繰り返す。ティー打撃では柔らかな構えから力強くボールをたたく。1日700スイングを重ねながら、クリーンアップを務める好感触を高めている。

3番に入った初戦、6月の米沢工(山形)との練習試合では練習グラウンドの左中間に3ランを放った。「1番とは違って相手投手を見て準備ができる。リラックスして打席に立てる」。観察する時間ができたことで、少し余裕が生まれた。

1年の秋から1番打者だった。今年の春季県大会は4試合すべてで安打を放ち、15打数8安打5打点で打率5割3分3厘。チーム打率3割3分3厘の村上桜ケ丘のトップバッターとしてギアを入れた。4回戦の上越戦では右翼越え三塁打、左翼越え二塁打の長打2本で4打点をマーク。松田監督は「パンチ力を生かせる」と秘めた適性を買い、夏の3番抜てきを決めた。

もっとも、春季県大会後の練習試合では、凡打を繰り返し不調を感じていた。松田監督との個人面談で「自信がないです」と胸の内を明かしたほど。指揮官のアドバイスは「自分がこの打席で何がしたいか、この試合でどういう打撃をしたいのか、考えを持つように」。

結果に一喜一憂せず、自分の打撃を追究することを大切にした。意識したのは中堅返し。体からバットが離れて振り回し気味だったスイングを、鋭く振り抜くように修正した。その成果がいきなり表れたのが米沢工戦だった。

佐藤は「接戦で勝ち切る」と、チームのスタイルを貫くことを夏のテーマにした。その上で「自分が打って勝つ」。着実に得ている手応えを言葉にした。【斎藤慎一郎】

◆佐藤陽翔(さとう・はるか)2004年(平16)5月6日生まれ、胎内市出身。黒川小では4年生まで野球、5、6年はバレーボールに取り組んだ。黒川中で本格的に野球を始め、おもに遊撃手と外野手。村上桜ケ丘では1年の夏からベンチ入りし、同年秋から正遊撃手。好きなプロ野球選手は千葉ロッテ藤原恭大。171センチ、60キロ。右投げ右打ち。