98年以来24年ぶりの夏甲子園出場を狙う滑川総合(埼玉)には、15人の主将がいる。

6年前、戸川智文監督(43)がアメーバ経営からヒントを得て採用した。アメーバ経営とは、京セラ創業者の稲盛和夫氏(90)がつくり出した経営手法。小集団にリーダーを任命し、共同経営のような形で会社を動かし、全員が責任感を持つことでチームの向上力につながる。

小峯歩外野手(3年)は「コミュニケーションチーフ」という役割を担う。15人主将制度については「最初は驚いた」。それでも、中学時代にキャプテンだった時、全てをこなすことに大変だった経験から「15個の脳みそが得意な分野で働くことは良くなりそう」と納得した。

昨年の夏は、2年生で唯一ベンチ入り。先輩と行動することが多かったため、新チームではコミュニケーションチーフにもかかわらず、うまく話ができない同学年生もいた。そんな中で「他のチーフがいたからこそまとめられた」と振り返った。戸川監督は「『主将』と名前がつくことで、誰もがどんな出来事も自分ごとに感じる。それによってチームの一体感が生まれる」と狙いを語った。

滑川総合の初戦は9日の庄和戦。勝ち上がれば、4回戦で夏の甲子園7度出場の花咲徳栄と対戦の可能性がある。主将15人の結束力とともに、強豪私学に立ち向かう。【星夏穂】