二刀流でプロ注目の京都外大西・西村瑠伊斗(るいと)投手(3年)がフルパワーを解禁した。2試合連発の高校通算52号は9回、右越えに高々と上がるダメ押し2ラン。「あの打席だけ本塁打を狙っていた。詰まっていたけど、よく入ってくれました」。アーチストの面目躍如だった。

「2番右翼」で先発したこの日は120メートル超の特大中飛、頭部死球、四球、左飛、そして本塁打。この日はバット以外でもあふれるセンスを発揮した。3-1の7回の右翼守備。無死一塁で打球を処理すると、三塁にノーバウンド返球して一塁走者を刺した。

同じ回に2死満塁のピンチを迎えると、今夏初めてマウンドへ。背番号1だが、他の投手が成長したため春の大会から抑え投手になっていた。厳しい場面だったが、直球で押し切って一邪飛に。これで流れを引き寄せ、直後の攻撃で3点を加えた。次の8回は一転、スライダーとスプリットをテンポよく投げ込む技巧派ぶりで3者凡退に抑え、勝利への道筋をつくった。

上羽功晃監督(51)の言葉が能力の高さを表す。「今年のテーマは『西村以外』で勝つこと。今日は西村以外でも点を取れたのでいいゲームだったけど、継投のところは…頼ってしまいましたね」と苦笑い。

「粘って勝ち切れた。特別なことはなく泥臭く西高の野球をしようと思っていた。これからもそれは変わらない」。そう落ち着いて話した古都の万能スラッガー。昨年は決勝の京都国際戦に3番手で登板し、3失点。あと1歩で甲子園を逃した。打って、投げて、今年こそ頂点へ駆け上がる。【柏原誠】

【高校野球】京都大会のスコアはこちら>>