県立の橿原が、春優勝の奈良大付を下す番狂わせを演じた。
背番号5の柴田涼平投手(3年)が172球を投げ、延長12回を2失点で完投した。184センチ、75キロの細身右腕は歯を食いしばって投げ抜いた。
「体は限界。気持ちだけで投げていました。すごくしんどかったけど、みんなが一丸で応援してくれていた。限界を超えても絶対に最後まで投げきろうと思った。試合前は5失点くらいは覚悟していたけど、びっくり。うれしい誤算です」。人生最多投球の大熱投を振り返った。
8回に同点ソロを浴びたが、延長11回の1死満塁をしのいだ。直後の12回、先頭で左前打を放って出塁。1死二塁から松村和哉内野手(3年)の中越え二塁打で、頭からホームに飛び込んだ。普段はあまり表情を表に出さないが、両手を握り締めて喜んだ。
その裏、2死一塁で、主砲の坂東泰樹内野手(3年)を二直に抑えると、再び感情を爆発させた。
香芝西中では3番手投手。高校では野手としてスタートしたが昨秋の大会後に投手に再挑戦。背番号5ながらエース格で夏を迎えた。左打者にはシンカー、右打者にはスライダーを制球良く決めるスタイルで、強豪を翻弄(ほんろう)した。【柏原誠】