南北海道の準決勝が行われ、決勝はともに初の夏甲子園を狙う2校の対決になった。

97年(函館大有斗)以来の函館勢王者を狙う知内は、プロ注目左腕、門別啓人投手(3年)擁する東海大札幌を2-1で下した。最速147キロ左腕の坂本拓己投手(3年)が9回5安打完投。今秋ドラフト候補との投げ合いを制し、春全道で敗れた相手にリベンジした。札幌大谷はプロ注目右腕、苫小牧中央の斉藤優汰投手(3年)を打ち崩し8回コールド勝ちした。

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1点リードの9回2死。マウンドの坂本は胸を躍らせていた。18・44メートル先で相対するのは門別。「楽しんで投げた」。2ストライクに追い込み、最後はスライダーを振らせ三振。試合終了後の整列時にはお互いをたたえ合い、門別の「頑張って」の言葉に「ありがとう」と返した。

初回1点の援護を受け、落ち着いた投球を披露し続けた。3回先頭打者に内野安打を許し、盗塁で無死二塁のピンチを背負ったが冷静だった。「間を使ったりしてボールが甘くならずに打ち取ることができた」。3つのフライアウトで無得点。6回に1点を失うも、7回以降は3者凡退に抑え相手打線を封じた。

リベンジした。チームは春の全道大会準々決勝で東海大札幌に2-4、練習試合でも敗れていた。6回4失点で降板した春全道は3連続四球を与え失点につなげてしまうなど制球面に課題を残した。

チームメートからテンポの悪さなど、守りづらさがあることを指摘された。意見を素直に受け止め、間合いなどを意識。反省を生かし、この日許した四球はわずか1つ。二塁手の渡辺は「後ろから守っていて1戦1戦すごさが増している」とレベルアップした姿を感じている。

夢見てきた甲子園まであと1勝と迫った。「自分のやるべきことを1つ1つやって、チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」。奥尻生まれの左腕が、チームを夏初の聖地へ導く。【山崎純一】

◆坂本の投球を視察した日本ハム白井スカウト 勝負どころでコースに投げ分けられている。ここぞの場面で力を発揮している。

○1-0の5回1死二塁で右前適時打を放った知内・渡辺 (南大会8打席目での初安打に)僕は打てる打者じゃない。やれることをやるだけ。次もみんな笑顔で戦いたい。

○初の決勝進出を決めた知内・吉川英昭監督(46) 見ている人たちがワクワクしたり元気が出るような、小さな子が野球をしたいなと思うような野球を心がけたい。勝とうが負けようがしっかりやり切りたい。