昨夏代表校の愛工大名電がベスト4に進出した。

3回に先制三塁打を放った伊藤基佑(もとい)内野手(3年)が6回の2点本塁打を含む4打数3安打3打点で打線をけん引。5点差の7回に2点を加え、今夏4戦全てコールド勝ちで、2年連続夏の甲子園へあと2勝に迫った。

伊藤は打球の行方を確認すると右拳を天高く突き上げた。3点差の6回1死二塁。カウント2ボール1ストライクから豊川2番手白州輝一投手(3年)の直球を強振。「山田が頑張っていた。本塁打になって良かった」と、笑顔でアーチの感触を思いかえした。

伊藤のルーティンは打席前に天を仰ぐ。初回の守備では、グラウンドに指で名前を刻む2つ。「勝登」「晴也」。今年6月にチームメート瀬戸勝登(しょうと)外野手(3年)が心不全で急逝。中学2年夏には小学生時代に野球を通じて知り合った久野晴也さんを水難事故で失った。「僕が甲子園に行く理由の1つです」。キャップのつばにも2人の名前を記して戦っている。

エース有馬伽久(がく)投手(3年)を温存し、先発した主砲を務める山田空暉(てんき)投手(3年)が7回5安打2失点完投。コールド勝ちで駒を進めた。二塁打を残して伊藤は初のサイクル安打を逃した。「ベンチから言われて少し意識しました。でも1試合1試合、つなぐ意識でやっていく」。伊藤のバットが、天国の友人たちに快音を聴かせ続ける。【伊東大介】

【高校野球】愛知大会スコア速報はこちら>>