ライバルと初めて言葉をかわした。

日本文理・田中晴也投手(3年)はあいさつを終えると、帝京長岡の茨木秀俊投手(3年)に歩み寄った。「ありがとう」。田中が言うと、茨木は「頑張れよ」。田中が最速150キロ、茨木は147キロ。プロ注目の剛腕対決は延長11回の投手戦。151球、3安打1失点の田中が、142球、6安打2失点の茨木に投げ勝った。

「茨木君には負けたくない」。闘争心が原動力だった。準決勝(26日)で右手人さし指のまめがつぶれ、この日も出血。この試合の最速は145キロも、要所で力を振り絞った。7回に同点とされるも、8回以降は走者を出さず、11回裏のサヨナラを呼び込んだ。

昨夏4回戦。田中は茨木と初めて投げ合い、日本文理が8-3で勝った、「チームメート以外で初めてライバルだと思った」。1年後、最高の舞台でけりをつけた。甲子園には「やはりいい投手」と実感した好敵手の思いも持って行く。【斎藤慎一郎】

◆日本文理 1984年(昭59)創立の私立校。普通科。生徒数は838人(女子288人)。野球部も同年に創部。部員115人(マネジャー5人)。甲子園出場は春5度、夏は12度目。09年夏に準優勝、14年夏はベスト4。主な野球部OBはヤクルト鈴木裕太ら。所在地は新潟市西区新通1072。田中利夫校長。