主力選手12人が発熱などの体調不良を訴えて準優勝に終わった生駒で、先発した1年生・草野純投手が、悔しさを胸に来夏、初の甲子園を目指す。決勝当日の朝に北野定雄監督(63)から先発を伝えられたという。

「お前に任せるから、自分を信じて投げてくれと言われました」

今大会初登板は、緊急事態で巡ってきた。1回に3点、2回に2点を失った。7点をリードされた3回途中でマウンドを降りた。2年生の浅野、神田と3投手が継投し、9回を戦い抜いた。

「決勝戦に出ることができなかった先輩の分まで頑張ろうと思っていたのですが正直、全然抑えることができませんでした。悔しい思いが大きいです。来年、再来年、絶対に天理高校に勝てるように、先輩の悔しさを晴らすことができるように。ランニング、ウエートトレーニングを今まで以上にやって、必ずまたここに戻ってきたいです」

涙をこらえながら、1年生投手はそう話した。

熊田颯馬外野手(3年)ら、一緒に戦った先輩からはこんな言葉をかけられていた。

「40点、50点いかれてもいい。全力で諦めずに、最後まで笑って野球をしよう」

それが50年ぶりに奈良大会4強に進み、初の決勝の扉を開いた生駒の誇りだったのかも知れない。

球場では涙をこらえていた選手たちを見つめながら、北野監督はこう話した。

「ようやった。下手なのは当たり前。ただ全力で立ち向かった、この子たちの気持ち。それを見られただけで私は十分です。ここまで来ることができたのは、今日、球場に来ることができなかった(体調不良の)子たちのおかげ。復帰した時には伝えたいと思います。『ありがとうな』と。本当に、いいチームでした」