高松商(香川)は近江(滋賀)に競り負け、52年ぶりの4強入りはならなかった。

一進一退の息詰まる展開で、2番・井桜悠人外野手(3年)が4打数3安打2打点と気を吐いた。

7回、1死一、二塁から、今大会注目のスラッガー・浅野翔吾外野手(3年)が申告故意四球で満塁となった。井桜は「県大会から申告故意四球は何度もあったけど、一、二塁での申告故意四球は初めての経験でした」。一瞬揺らいだ気持ちを、浅野が一塁から「気持ち、気持ち!」と声をかけ、支えてくれた。「初球から思い切っていこうと思いました」と狙い通り、しぶとくショートへ運び4点目を挙げた。なお満塁で渡辺升翔内野手(3年)が同点の右前適時打。三振を挟み2死満塁から久保慶太郎外野手(2年)の押し出し死球で、この回初めてリードを奪った。井桜は「僕らの代は、ずっと浅野だけのチームと言われていた。最後、このイニングで浅野以外で得点できたことが成長だと思います」と胸を張った。

チームは2回戦の九州国際大付戦(福岡)の2日前に、主力の本田倫太郎内野手(3年)と林息吹外野手(3年)が体調不良のため戦線離脱した。涙を流しながら宿舎を離れた2人の姿を選手たちは心に焼き付け「2人が戻ってくるまでに勝ち進む」を合言葉に試合に臨んでいた。井桜は「甲子園では自分たちの思っている以上の力が……出せたんですが、最後、本田と林のためにも……勝ちたかったです…」と涙をこらえながら、声を振り絞った。