「甲子園V左腕」が神宮でさらなる飛躍を目指す。仙台育英(宮城)斎藤蓉投手(3年)が、東京6大学野球の立大に合格したことが2日までに分かった。夏の甲子園では背番号10をつけ、4試合に登板。東北勢悲願の日本一がかかった決勝、下関国際(山口)戦では先発し、7回3安打1失点と好投した。4年後の「プロ入り」を目標に掲げ、新たなステージでさらなる成長曲線を描く。

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最高峰のリーグで研さんを積む。立大進学が決まった斎藤は「レベルの高い選手が集まる。自分がどこまで通用するのかが楽しみ」と率直な心境を明かした。高校野球引退後も、体作りをメインに週7日で汗を流し、冬場はランニングメニューも追加するという。新たなステージに向け、着々と準備を進めていく。

投手の生命線と言える「球のキレ」を磨き続けてきた。球速以上に打者の手元でグッと伸び、スピードを感じさせるストレート。高校3年間、追い求めてきたものの1つだ。「自分の色をどうやって出していくかを考えた時に、球のキレにこだわるようになった」。勝負球の130キロ台の高速スライダーもキレ味鋭く曲がるのが特徴だ。さらに、三振がほしい、打たせて取るなど、状況に応じた投球術も兼ね備えている。「併殺を狙って取りにいける。打たせるところと、三振を取るところを分けられる」と自信を見せる。

飛躍的な成長を遂げた背景には「反骨心」があった。最速145キロ左腕も、入学当初は最速は125キロ。「みんなのレベルが高くて、(入学当初の)自分の実力は下の方だった」と振り返る。選手層の厚さに立ち位置を見失い、モチベーションが下がる時期もあったが、心の奥底にある強い思いは消えなかった。「『負けたくない』思いが常にあった」。2年春にベンチ入り。その後は「育英投手陣」の支柱とも言える存在までになった。今夏の甲子園決勝で先発し、7回3安打1失点の好投。東北勢悲願の日本一に貢献した。「自分次第で成長はできると思います」と胸を張った。

夢に向かって突き進んでいく。「大学4年間がすごく大事になると思う。まだ夢ですけど、少しずつ近づいている実感もある。将来はプロ野球選手になります」と力強く誓った。【佐藤究】

◆斎藤蓉(さいとう・よう)2004年(平16)4月17日生まれ、山形・鶴岡市出身。小2から城北ホワイトイーグルスで野球を始め、鶴岡四中時代は酒田リトルシニアに所属。中3夏に全国大会出場。仙台育英では2年春からベンチ入り。尊敬する有名人はタレント中田敦彦。家族は両親と姉。174センチ、74キロ。左投げ左打ち。