来春の第95回記念選抜野球大会(3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠の地区候補9校が9日、発表された。四国地区からは徳島の公立進学校、城東が3年ぶりに選出された。来年1月27日に最終3校が発表される。

今秋の県大会4強。徳島商に1点差の惜敗だった。今年4月に就任した新治良佑監督(34)は12人の選手を前に「おかげさま精神だな。うまくいっていない時は自分にベクトルを向けよう。今回9校に選ばれたように、うまくいったときは誰かのおかげ。ベクトルを外に向けよう。感謝と謙虚の気持ちを持って練習に取り組んでほしい。誰かのせい、環境のせいにせず頑張ってきたから、秋季大会で結果が出たんだ」と説いた。

学校のグラウンドは約90メートル×約70メートル。野球部以外にラグビー、サッカー、ハンドボール、ソフトボールがひしめく。平日は毎日午後4時30分までの7時間授業。河川敷の県営グラウンドも使えるが、移動していると真っ暗になるため秋以降の平日はほぼ使えない。新治監督は「フリー打撃を最後にいつやったか覚えていない。夏の大会前もほとんどやらなかった。人数が少ないのでボールを拾う時間もかかってしまう」と苦笑い。

毎年、部員の半数が国公立大に進学する。今年も12人のうち6人が塾通い。その分、進学校らしく、考える野球を突き詰める。テーマは「サインを超えていけ」。機動力を生かした野球が部の伝統。ノーサインの攻撃もあれば、出されたサインに対しグラウンドにいる選手たちが自主的に切り替えることもある。それで失敗してもOKだ。大型の選手はいない。「『打撃』ではなく『攻撃』をしよう」と同監督が言う。

森本凱斗主将(2年)は「少ない人数のメリットは効率よく回せるところ。質を求めています。誰かのミス1つ1つに対して指摘を入れることで強くなる。走力のない選手でも次の塁を狙う姿勢を見てほしい」と胸を張る。3年目に9地区候補に選ばれた際は、兄の夢叶さんが城東の部員だった。兄の思いも感じて、1月27日の吉報を待つ。