第95回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の出場校を決める選考委員会が27日行われた。センバツ初出場となった能代松陽(秋田)は2季連続出場。まずは昨夏挙げられなかった聖地1勝を狙う。

ナインは緊張の面持ちで代表校の発表を見つめていた。大高有生(ゆうき)主将(2年)は「名前が呼ばれるまで緊張で足が震えていた。みんなも顔が引きつっていました」。直前に同郷のライバルである由利(秋田)が21世紀枠から落選したこともあり、一層緊張感が高まっていた。静寂の中、「秋田県立…」と呼ばれた瞬間、緊張の糸が解けたナインは一斉に喜び合った。大高は「夢の舞台にもう一度立てる。とてもうれしいです」と、夏春連続の聖地出場をかみしめた。

昨夏の甲子園では聖望学園(埼玉)に2-8で敗れ、東北勢唯一の初戦敗退。能代商から、13年に能代北と統合した「能代松陽」としての初勝利がかかっていただけに、悔しい夏だった。その悔しさを糧に、昨秋の東北大会では、公立校で唯一の4強入り。準決勝では昨夏王者の仙台育英と1-2の接戦を演じ、それが評価された。大高は「レベルの高いチームと対戦できたことで、練習から良い投手や良いチームを想定して練習できたことが大きい」と振り返り、積み上げてきたものが実を結んだことを喜んだ。

センバツに向け大高は「目標は日本一です」ときっぱり。しかし、「まだまだ日本一には程遠い。日本一になるために、自分たちの課題である打撃をレベルアップできるように頑張りたい」と、浮かれてはいない。工藤明監督も「今までは秋田県の代表でしたが、今回は東北の代表。重く感じるが、夏に悔しい思いもしているので、今度こそ東北の代表として胸を張って勝利を挙げたいです」と気を引き締めた。夏の悔しさを喜びに変えるため、元気を武器に日本一まで駆け上がる。【濱本神威】