広陵(広島)の高尾響投手(1年)が最高の滑り出しを見せた。

4日、広島市の自校グラウンドで行った倉敷工(岡山)との今季初戦。1戦目に先発した右腕は6回を投げ、無安打無失点。許した走者は失策による1人だけ。わずか61球という完璧な内容で、実力校を相手にしなかった。

「最初は浮いたけど、修正できてよかった。上体で投げていたのを、上からたたけるようになった」と満足そうだった。

一冬越えてスーパー1年生は進化していた。この日の最速は143キロ。冬の間の紅白戦で、自己最速を2キロ更新する147キロを計測していた。昨秋は右足の疲労骨折で本領発揮できなかったが、トレーニングを重ねてパワーアップに成功。「投げていない期間が長かった分、体を強くしました。進化できたと思います」。投球術も目を見張るものがある。この日はスライダー、カーブに加え、低めに鋭く落ちるスプリットが抜群。制球もまとまり、172センチの小さな体からエースの風格を漂わせた。

入学直後の春の中国大会で名門の背番号1を託された逸材だ。2戦目で6回無失点だった倉重聡や、岡山勇斗(ともに2年)らと形成する投手陣は全国トップレベル。高尾は甲子園デビューになるセンバツでも背番号1が予定される。

「重圧は感じていない。背番号をもらえない人たちがいるので、自分ができることを精いっぱいやり、チームの代表に恥じないようなプレーをしたい」と気を引き締めていた。