敦賀気比(福井)の背番号18の左腕・竹下海斗投手(2年)が強力打線に立ち向かった。6回5安打2失点に抑え、「自信になった」と満足の内容だった。

リベンジのマウンドだった。昨夏の甲子園では聖光学院(福島)との3回戦で中継ぎ登板。火消しのマウンドだったが、2回1/3を4失点と炎上し、チームは敗れた。そして迎えたセンバツのマウンド。東哲平監督(42)から「男ならガツンと去年の借りを返すつもりで、死ぬ気で戦ってくれ」と登板2日前に先発を告げられた。燃えないわけがなかった。「去年の悔しいピッチングがあった。気持ちが引き締まった」と腹をくくった。

大阪桐蔭・前田との投げ合いにも気後れはなかった。カーブとチェンジアップを丁寧に低めに投げ込み、何度も打者のタイミングを外した。「5回くらいでも変化球に崩されたファウルが見られた。変化球中心で打たせて取る自分らしいピッチングができた」と自信を深めた。

手応えをつかんだ冬だった。「指にかかるストレートがつかめて、変化球もキレのいいカーブを投げ込みでつかめた」。好感覚をつかみ、寮生活のため離れて暮らす父宏志さん(50)にLINE(ライン)を送った。宏志さんは「ピッチングしていて、今調子いいんやと連絡が入った。初めてです。手応えがあったみたい。調子が良くないと向こうから連絡は来ないんですけど」と笑うが、息子からのうれしい連絡に頬を緩めた。この日はアルプスから応援。息子の好投した姿を目に焼き付けた。

甲子園の借りは甲子園で返した。それでも勝利はつかめなかった。「甲子園で投げきれるように、夏は全部自分で抑えられるように成長したい。背番号1で甲子園に戻ってきたい」。2年生左腕は力強く話した。【林亮佑】

◆大阪桐蔭対敦賀気比 甲子園では3度目の対戦となり、大阪桐蔭が2勝1敗とした。14年夏準決勝では大阪桐蔭が3本塁打を含む12安打で15-9と逆転勝ち。15年春準決勝は敦賀気比・松本が春夏甲子園で史上初の2打席連続満塁本塁打を放ち、平沼の完封で11-0と快勝。過去2度とも、勝者が優勝している。