春夏甲子園3度の優勝を誇る報徳学園(兵庫)が、センバツ6年ぶりの白星で初戦を突破した。4番石野蓮授(れんじゅ)外野手(3年)が2ランを含む3安打3打点で打線をけん引し、高崎健康福祉大高崎(群馬)に快勝。昨年4月に就任した多田晃監督(44)率いる履正社(大阪)は、高知に逆転負けで初戦敗退を喫した。氷見(富山)は、昨秋関東王者の山梨学院に善戦及ばず、21世紀枠は3校とも初戦で姿を消した。

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報徳学園の4番石野が、内角低めの直球を振り抜いた。2番手左腕加藤の139キロををとらえた弾丸ライナーは、あっという間に左翼ポール際に吸い込まれた。3点リードの8回2死三塁。5点差に広げる高校28号で勝利を決定づけ、会心の笑みが広がった。「左投手でクロスで投げてくる球もあると頭に入っていた。しっかりと反応できた。伸びてくれて良かった」。

3回の第2打席では先発右腕小玉のカーブを左前打。4回は2死一、二塁から右翼線に適時二塁打を放ち、4点差に拡大した。2ランを含む3安打3打点で11安打7得点を呼び、相手自慢の“機動破壊”を破壊。「守備に就くときも夢のよう。信じられなかった」という憧れの聖地で春6年ぶりの初戦突破に貢献した。

昨秋の近畿大会では3試合連続弾を放つなど準優勝に貢献。だが、今年3月4日の練習試合解禁後は不調が続いた。ヒントをくれたのは元阪神の葛城育郎コーチ(45)。体の開きの早さと自分のポイントで打ち返す大切さを指摘された。「4番として長所を生かしていけ」の助言も受け、身上のフルスイングに原点回帰。「自分としてやるべきことがわかった」。甲子園初戦の1発回答で完全復調をアピールした。

センバツの個人1大会通算の本塁打記録の更新にも意欲的だ。「春の記録は3本と聞いたので、4本打って更新したい」。目指すは84年清原和博(PL学園)や92年松井秀喜(星稜)らの1大会3本塁打超え。プロ注目の強肩捕手、堀だけでなない。報徳学園には頼れる4番がいる。【林亮佑】

○…プロ注目の強肩捕手の堀が攻守で勝利に貢献した。「足はすごく意識していた」。“機動破壊”が売りの相手にワンバウンド投球を体で止めるなど、抑止力も発揮して盗塁を企図させず。打っては4回2死一、二塁で右前に適時打を放ち、3点差に拡大した。それでも「チャンスで回してもらったけど全然打てなかったので、反省が多い」と凡退した4打席を課題に挙げ、貪欲だった。

◆石野蓮授(いしの・れんじゅ)2005年(平17)7月13日生まれ、大阪府箕面市出身。箕面市立中小1年から箕面ジュニアーズで野球を始める。箕面市立第五中では兵庫伊丹ヤングに所属。報徳学園では1年秋に初めてベンチ入り。高校通算28本塁打。目標の選手はカブス鈴木誠也。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。

◆WBC代表の母校 山田哲人(ヤクルト)の母校・履正社が初戦敗退。今大会に出場したWBC戦士の母校は、ダルビッシュ有の東北、源田壮亮の大分商、吉田正尚と山崎颯一郎の敦賀気比、鈴木誠也(代表辞退)の二松学舎大付も初戦で敗れた。高橋奎二の龍谷大平安は初戦を突破した。

◆21世紀枠 石橋、城東に次いで氷見も初戦敗退。21世紀枠代表校が一般選考枠に勝ったのは15年松山東(○5-4二松学舎大付)が最後。初戦で21世紀枠同士の対戦を除くと、15年の豊橋工から19校続けて初戦敗退となった。

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