東邦(愛知)がセンバツ通算58勝とし、同県のライバル中京大中京に肩を並べた。

岡本昇磨外野手(3年)が本塁打&抑え投手として勝利に貢献した。次の報徳学園(兵庫)戦に勝てば史上単独トップに立つ。沖縄尚学はエース東恩納蒼投手(3年)が2連続の完投勝利。作新学院(栃木)は英明(香川)との終盤の打ち合いを制した。

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東邦の5番岡本は、願いながら走っていた。入ってくれ-。2点リードの6回。1死走者なしから左腕大室の変化球を振り抜いた。感覚は悪くなかったが、確かな自信はない。打球の行方を気にしながら飛び出したが、直後に1発を確信する歓声が耳に入った。「公式戦で(本塁打を)打ったことなかった。初めてだったので、気持ちよかったです」。甲子園の舞台での初弾に、ほおを緩めた。

持ち味は打撃だけではない。7回からはリリーフ登板し、3イニング2失点と踏ん張った。エース宮国凌空(3年)、山北一颯(3年)との3本柱の1人。岡本は、投打で貢献して「うれしかった」と満足げに笑い「野手で活躍しながらもピッチャーでも活躍できる。それが二刀流のいいところです」。頭に浮かんだのは日本を世界一に導いたエンゼルス大谷の姿だ。

山田祐輔監督(32)も「いつも『ここぞ』という場面で抑えてきた。いきなりマウンドに上がっても抑えてくれる」と絶大なる信頼を置く。この日も、8回に1死二、三塁の危機を迎えたが、落ち着いて投げきり失点を許さなかった。

春の甲子園で歴代最多5回の優勝を誇る名門校で、「春の東邦」と評されている。センバツ通算勝利数を58に伸ばし、中京大中京(愛知)と並んで歴代1位タイとなった。次戦は春夏優勝3回の報徳学園(兵庫)と対戦する。東邦はこの試合で最速149キロのエース宮国を温存。指揮官も「宮国を使わず勝てたのが大きい」と次を見据える。4年ぶりの優勝へ-。創立100周年の節目の年を、優勝で飾る。【竹本穂乃加】

○…元中日投手の茂利さんを父に持つ山北が、公式戦初の先発登板で6回1失点の好投を見せた。「全国の舞台でこれだけできた。70~80点の出来です」。父からの「ストライク先行でいけよ」という言葉を胸にマウンドへ。山田監督からも「ナイスピッチング」と労われた。初の大役を務めた山北は勝利を喜び、次戦に向けて「いつでもいけるように準備します」と声を弾ませた。

【センバツ】作新学院が英明破り8強一番乗り 沖縄尚学、東邦は3回戦進出/スコア詳細>>