山梨学院が春夏通じて同校初、山梨県勢として22年ぶりのセンバツ8強を決めた。7-1で光(山口)に逆転勝利。

先発の林謙吾投手(3年)が8回途中まで1失点、5回には決勝適時打を放つなど、投打でチームをけん引。野球部トップの秀才“林先生”が、頂点へ導く。専大松戸(千葉)は6-4で高知に逆転勝ちし、春夏通じて初の8強。広陵(広島)は3-2で海星(長崎)との接戦を制し、準々決勝進出を決めた。

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優勝するなら今でしょ! 1-1の同点で迎えた5回1死三塁、エース林が打席に立った。決勝適時打は詰まりながらも右翼手の前に落ち、勝ち越しの走者を迎え入れた。一塁へ走りながら右手でガッツポーズ。甲子園初打点が殊勲打になっても、「結果的に勝てればいい」と、その後は投球に専念した。

中2日となった3試合目の先発マウンドでも、7回2/3を5安打9奪三振1失点と好投した。東北(宮城)との1回戦、氷見(富山)との2回戦ともに、119球で1失点完投。この日も初回から3者連続三振を奪うなど疲れを見せず、「自然に声が出ているときは調子がいい」との自己分析通り、序盤から「おりゃー!」と気合の入った声が甲子園全体に響いた。

グラウンドの外でも優秀だ。学校の評定平均は5段階評価で4・9。野球部では1番成績が良く、学年でも常に5番以内をキープする。暗記が得意で好きな科目は社会。定期テストの1週間前には寮で勉強会を開き、林は先生役として参加する。数学を教わるという伊藤は「わからなくなってつまずいたら、すぐに助けてくれる」と、エースとしても先生としても信頼を置く。

昨秋からベンチ入りした急成長右腕。背番号は県大会が「20」、関東大会は「10」、そして神宮大会から「1」を背負う。「ピッチングの悪い癖が出た時に、頭の中で考えて修正できる」とマウンドでも記憶力を生かしている。次戦は作新学院(栃木)との関東対決。「相手に合わせた投球はしてきていないので、そこは崩さないように落ち着いて」と、目の前の1勝を取りに行く。【星夏穂】

◆林謙吾(はやし・けんご)2005年(平17)7月30日、東京都足立区生まれ。舎人スポーツ少年団でプレーし、12球団ジュニアトーナメントのジャイアンツジュニア入り。駿台学園中では軟式の全国大会で準優勝。好きな選手はデグロム投手(レンジャーズ)。将来の夢はプロ野球選手。好きな食べ物はハンバーグ。178センチ、81キロ。右投げ右打ち。

◆関東3校が8強 作新学院に続き山梨学院、専大松戸も8強入り。関東勢3校の春8強は15年の浦和学院、常総学院、高崎健康福祉大高崎以来。昨秋の関東大会では山梨学院が優勝、専大松戸が準Vだが、秋の関東2強がともに春8強は00年の東海大相模、国学院栃木以来23年ぶり。