優勝まであと2勝!山梨学院が、春夏を通じて初の4強入りを決めた。作新学院(栃木)との関東対決を12-3で制した。3回、足を使った持ち味の攻撃力で相手バッテリーをゆさぶり、打者一巡の猛攻で7点を挙げ流れをつかんだ。4戦連続で先発したエース林謙吾投手(3年)が、安定した投球で8回を3失点にまとめた。県勢では市川(現青洲)が「ミラクル市川」として全国に名をはせた91年春以来の4強。初の決勝進出、そして頂点へ、一戦必勝で向かう。

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山梨学院のチャンステーマ「ビッグウエーブ」が鳴りやまなかった。笑顔でベンチからサインを出した吉田洸二監督(53)は「できすぎです。足を使った攻撃や、普段練習していることがいかせた。生徒が伸びやかにできる場面が、うまくできた」と振り返った。

3回、多彩な攻撃を見せた。無死一、三塁、佐仲が初球にバントの構えをすると、一塁走者がすかさず二盗。スクイズを決める意図はなく、あくまで偽装。今大会、何度もスクイズを決めている佐仲を相手が警戒していると見越した戦術だ。練習通りで、佐仲は「自分がゲッツーになる可能性もあるので(サインが)出たんじゃないかと思います」と、さらりと言ってのけた。1死二、三塁では、進藤がカウント1-2からヒットエンドランで1点を追加。相手を揺さぶり続けた。

甲子園で成長する選手たちが、歴史を変えた。聖地では4大会連続で1点差で敗れた呪縛から開幕戦で解放され、4連勝。指揮官は「この球場に育ててもらっていますね。本当に(歴史を)変えていますよね」と目を細めた。

2回戦で氷見(富山)、3回戦で光(山口)と県立と対戦。同じく県立の清峰(長崎)で09年センバツ優勝した吉田監督に、当時の思いがよみがえった。「甲子園に出られるだけでうれしい、勝ちなんかどうでもいい。それがいつの間にか、僕が勝ちたいと思いすぎて(選手の)ガチガチ状態を生んでいた。今はこの子たちと、楽しく野球がやりたい」。監督も選手も、甲子園を思いきり楽しんで頂点を狙う。【保坂恭子】

▽山梨学院・高橋(4番として3安打2打点。広陵について) 生で真鍋を見てみたい。投手がいいし、野手もそろうし、手ごわい。投手が良くなるので(打線は)つなぐ。チームプレーに徹したい。

◆山梨県勢の4強 山梨学院が春夏を通じて初の4強。県勢のセンバツ4強は91年市川以来。過去の準決勝は春夏通算7戦7敗の山梨県勢だが、初の準決勝突破なるか。

◆林が4勝目 山梨学院・林が今大会4勝目。山梨県勢の投手が1大会で4勝したのはセンバツ初。夏の大会を含めても12年夏の神原友(東海大甲府=4勝)に並ぶ最多。

◆大会初の2桁得点 山梨学院が今大会全チームを通じて初の2桁得点。開幕29試合目で初の2桁得点は74年(全29試合で2桁得点なし)以来の遅い記録。

◆無失策試合 作新学院-山梨学院戦、東海大菅生-大阪桐蔭戦で記録。今大会2、3度目。

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