富士宮東が初戦となる2回戦を突破した。2-3で迎えた9回表無死満塁、4番佐藤悠大内野手(2年)が投前にスクイズ。三塁走者に続き、二塁走者の小沢陸外野手(3年)も一気に生還した。鮮やかな2ランスクイズで逆転に成功。そのまま振りきった。

先輩たちが残した“遺産”が生きた。50メートル5秒台の俊足を誇るロッテ育成3位・勝又琉偉内野手(18)らを擁した前チームは、積極的な走塁が武器だった。唯一、当時から主力を張る小沢は「2ランスクイズは練習からやっていたし、練習試合で成功させたこともあった。『狙う』という感覚は常に持っていた」。

この日も迷いはない。スクイズを処理した相手投手が一塁へ送球する間に、頭からホームへ突っ込んだ。「勝利に貢献する走塁ができて良かった」。土壇場でもぎ取った貴重な決勝点。ユニホームを泥だらけにして両手を突き上げた。

昨秋は地区予選初戦(2回戦)で沼津工に3-7で敗れた。冬を越え、公式戦初勝利を挙げたチームは次戦で昨秋東海4強の加藤学園と県切符をかけて対戦する。小沢は「強い相手だけど、一丸となって勝利を目指したい」とチームの思いを代弁し、目を光らせた。【前田和哉】