元広島投手の今村猛氏(31)は今大会、テレビを通じて山梨学院の戦いを見つめた。「毎試合とてもおもしろかったです。吉田監督が、選手を信頼して野球をしているんだなと感じます」と話した。

09年のセンバツで、清峰(長崎)のエースとして吉田洸二監督(53)の元で優勝。同年ドラフト1位で広島に入団した。

現役を引退して見る高校野球は「同じ野球でも、プロとは違う野球ですよね。見ていて、とても楽しいです」という。

今村氏は09年センバツで、1回戦から決勝までの全5試合に先発。うち4試合を完投して627球を投げ抜き、失点は準決勝の報徳学園(兵庫)戦での1点のみ。防御率0・20のまさにスーパーエースだった。吉田監督は、09年を振り返り「(采配による)マジックではなくて実力。投手がすごすぎたから。今、今村がいたら余裕で優勝しますよ。そのくらいあの子はすごい。今村がすごすぎました」。それを聞いた今村は「ありがたいですね。その言葉は、うれしいです」と受け止めた。当時、体はきつかったが、それを上回る気持ちがあった。「勝っていく楽しさが上回っていましたね。甲子園という素晴らしい球場で野球ができる、という喜びがしんどさよりも勝っていました」。

今年の山梨学院も、“鉄腕”エース林謙吾投手(3年)がけん引した。今村氏は「林くんは、とてもいい投手ですよ」と安定感を評価する。現役を引退して2年。「高校野球のレベルは、年々上がっていますね。日本の野球の未来は明るいです」と期待を寄せた。

◆今村猛(いまむら・たける)1991年(平3)4月17日、長崎・小佐々町(現佐世保市)生まれ。清峰では1年夏からベンチ入りし、09年センバツ優勝。同年ドラフト1位で広島入団。13年のWBCで日本代表として戦い銅メダルを獲得。リーグ3連覇時は勝利の方程式の一角を担った。21年限りで現役を引退。通算431試合登板、21勝30敗、115ホールド、36セーブ、防御率3・46。

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