浜松開誠館の剛腕エース近藤愛斗(3年)が春夏通じて初の甲子園に導く。県内最速147キロを誇る右腕は、常時140キロ台の直球に加え、切れ味鋭い6種の変化球を駆使し相手打者を翻弄(ほんろう)する。「夏は圧倒的な投球を見せたい」と意欲を示し「仲間と野球を楽しみながら頂点を狙います」と表情を引き締めた。

エースが進化して帰ってきた。高校入学時、136キロを記録し1年春から公式戦マウンドを経験するも、2年の春に制球難で突如スランプに陥った。「何をやってもうまくいかなかった」。チームは初めて春の東海大会を制して盛り上がる中、再起を懸けて「下半身強化と前向きな考え方」の課題に取り組んだ。走り込みを抑えて徹底したウエートトレーニングを実施。メンタル意識も日常生活から見直し、地道に復帰を目指した。

1年間の苦しい時期を乗り越えた今春、スクワットは110キロから200キロにパワーアップ。球速も10キロ上昇してチームの県大会4強にも貢献した。さらに6月の花咲徳栄(埼玉)との練習試合でも4回1失点と好調ぶりをアピール。最後の夏に向けて努力を重ねてきた背番号1は「夏は150キロ出したい。準備は出来てます」と意気込んだ。

第1シードで臨んだ昨夏はまさかの初戦敗退(5●10聖隷クリストファー)。雪辱に燃える今夏は第4シードとして初戦の2回戦で沼津商-新居の勝者と対戦。昨夏も経験した主将の吉松礼翔内野手(3年)は「まずは初戦に集中。近藤を信じて、今年こそ甲子園に出場します」と力を込めた。【山口昌久】