劇的な逆転勝利で慶応が激戦区・神奈川を制した。
3連覇を狙う横浜との一戦で、渡辺千之亮外野手(3年)が9回に2試合連発となる逆転3ランを放ち、5年ぶり19度目の夏の甲子園を決めた。先制するも中盤に逆転を許す展開。それでも最後まで諦めず、春夏連続での聖地への切符をもぎ取った。
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一振りで勝利をたぐり寄せた。2点を追う9回1死二、三塁。渡辺千は「一塁コーチャーとかが叫んで笑わせてくれていた」と、緊迫した状況でもリラックスして打席に入った。フルカウントからチェンジアップをフルスイング。聖地へとつながるアーチを、左翼席へ架けた。この日4度目の応援歌「若き血」が流れ、一塁側スタンドは歓喜に包まれた。
悔しい1本が変わるきっかけだった。控えだった昨秋の関東大会、準決勝で代打出場すると、右翼に放った大飛球はフェンス手前で失速し凡退した。「フェンスを越えられる体を作らないとと思った」。冬場はウエートトレと食事で体重を75キロから83キロに増やした。今大会は準決勝から2戦連発。大舞台で長打力を発揮した。
最速147キロを誇る相手のエース左腕・杉山を打ち崩すため、データ班は準決勝後の2日間、10時間をかけて資料を洗い出して準備した。渡辺千自身も、約10メートルの短い距離で打撃練習し、速球対策を施した。「メンバー外の3年生のチームメートがバッティングピッチャーをやってくれたりアドバイスをくれたおかげ」と感謝した。
試合前、森林貴彦監督(50)はこの日のテーマを「威風堂々」に決めた。「応援してもらえるチーム作りをしてきた。その集大成として堂々とやってほしい」との思いを込めた。東海大相模、横浜を倒し堂々と頂点に立った。目指すは、チームの合言葉でもある「KEIO日本一」。渡辺千は「やっとスタートラインに立てた。全国でも自分たちの野球をしたい」。激戦区神奈川を勝ち抜き、今度は聖地で慶応野球を見せる。【星夏穂】
▽ソフトバンク柳町(慶応の16年卒。母校の劇的勝利に)「9回裏は映像で見てました。8回に速報を見てダメかな…って思ったんですけど、逆転するとはすごいなと。暑い中頑張っていたので、僕も頑張りたいなと思います」
◆慶応 1858年(安政5)に創設された蘭学塾が前身の私立校。高等学校は新制高校として1948年(昭23)に開設された。生徒数は2180人(うち女子0人)、野球部は1888年(明21)年に創部で部員数は107人。甲子園出場は春10度、夏は19度frfv目。主な卒業生は楽天津留崎大成、ソフトバンク柳町達、ヤクルト木沢尚文。所在地は神奈川県横浜市港北区日吉4の1の2。阿久沢武史校長。

