<全国高校野球選手権:日大三3-0社>◇9日◇1回戦◇甲子園

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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2度目の甲子園は楽しんだ。チームを勝利に導く投球こそできなかったが、社・高橋は「春は楽しめなかったけど、今日は自分の力を出し切れてよかった」。センバツの試合後は、最後まで表情を崩さなかった。この日は感情を表に出し、充実感を漂わせた。

普段は口数も少なく、表情も変えない。背番号1をもらったときも家では喜ぶ顔を見せなかった。大会に入って体調や調子を尋ねる父からのLINEにも「いい」の2文字だった。

マウンド上では無表情を貫いた。「変化球が決まらなくて、ストレートで負けないように投げた」と自己最速に迫る142キロもマーク。粘投を続けた。5、7回と失策が絡んでリードを広げられ降板したが、交代時は白い歯を見せた。ここまで頑張ってきた思いがあふれた。ベンチで声を張り上げ、仲間を鼓舞し続けた。

高橋の成長があり、春夏連続出場につながった。「最高の舞台でピッチングができてとてもワクワクしたし、楽しかった」と試合後は明るかった。だが涙を流すチームメートを見て「これで高校野球は終わってしまうんだ」ともらい泣き。笑って泣いた夏になった。【林亮佑】

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