須磨翔風(兵庫2位)が延長10回、逆転サヨナラ勝ちで8強入りした。春夏通じて初の甲子園に前進した。
「越えろ!」。榧谷(かやたに)颯太内野手(2年)の一撃は、懸命に背走する左翼手のグラブのわずか先に落ちた。何度もガッツポーズをしながら仲間の元に走った主将は「勝ったんやなと。最後、いい場面に回してくれて、自分のミスを取り返すチャンスだった。主将として最後に自分で決めようと思っていました」と感情を爆発させた。
「魔曲」にやられかけた。6回の二塁守備で二遊間のゴロを後逸。痛い1失点につながった。直前に智弁学園の応援席からチャンステーマ「ジョックロック」が流れていた。遊撃の浅野悠羽(2年)と「これか。すごいな」と目で笑い合った。その直後、打球が飛んできた。今秋、無失策だった名手が普段ならあり得ないミスをおかした。
その魔曲に助けられた気分でもあった。「生で初めて聞けてうれしかった。ちょっとテンションも上がっていました」。すぐにエースの槙野遥斗(2年)に「こっち打たせてこい」と声をかけて、切り替えた。智弁学園のブラスバンドはもう脅威ではなかった。最後にミスを帳消しにした。
兵庫では厳しい戦いを勝ち抜いてきた。序盤から東洋大姫路や神港学園など強豪ばかりを1点差で振り切った。1人で投げ抜いてきた槙野の奮闘が目立つが、二遊間を中心にしたバックの支えが大きい。榧谷は「戦っていきながら強くなっている実感があります。粘り強さは智弁学園さんにも負けていないと思っていました」と胸を張った。
中尾修監督(57)は「打ち合いだと負ける。3点勝負と思って、粘りを意識していました。チームにまとまりがあるのが勝てている要因ですね」と選手の成長に目を細めた。
槙野は「榧谷がいいところを持っていきましたね(笑い)。中尾先生を甲子園に連れていきたい。明日も勝って、甲子園に行きたいです」ときっぱり言った。
2日連戦となる29日の準々決勝は耐久(和歌山1位)-社(兵庫3位)の勝者と。勝てば初の甲子園が当確になる。

