「感謝の気持ちをノックで伝えたい」。横浜翠陵のノッカー高柳依奈(いな)さん(3年)は、30度を超える暑さの中の7分間で1球1球に思いを込めた。ノッカーにボールを渡すのは、同じマネジャーの山本純白(ましろ)さん(3年)だ。2人は「いなみょん」「ましろん」と呼び合う仲。“真心ノック”を受けて湘南学園戦に臨んだチームは終盤、小刻みに得点を重ね、初戦を突破した。
高柳さんは「(山本さんと)2人でグラウンドに立ちたい」という思いから、ノックの練習を始めたという。誰ひとり反対することなく周囲は温かく見守ってくれたが、昨秋の神奈川大会は8失策で敗れた。「この負けは私の責任」と自分を責め、帰宅後すぐにノックバットを振った。部員や野球経験のある父に助言を求め、猛練習。「ここまでうまくなるとは」と田中慎哉監督(37)の想像を超えるレベルに到達した。山本さんは「一生懸命な姿がかっこいいです」と親友の雄姿に目を輝かせる。
部員への影響は大きかった。主将の阿部遥暉(はるき)捕手(3年)は「おかげでチームにまとまりが出てきた」と3年生マネジャー2人の奮闘に感謝し「(ノックの練習に)時間を使ってくれているので、結果で応えます」と誓う。試合では3投手をリードし、相手の得点を1点に抑えた。
田中監督は試合後のミーティングで「まだまだ夏は長いです」と部員に語った。目標は創部以来初のベスト32。マネジャーを中心に一丸となって、快進撃の夏にする。【深田雄智】
■いつか甲子園で同窓会
応援席には昨年卒業した11期生を始め、多くの関係者が駆けつけた。まだ、部の歴史は浅い。夢は甲子園のスタンドを卒業生で埋めること。「いつかアルプスでOBの同窓会をしたい」という田中監督の思いは卒業生に届いており「なによりです。ちょっとずつ増えていけば」と感慨深げだった。

