興奮由来のハプニングが、1人の高校生の気遣いぶりを可視化させた。

初回に4点先制された連合チームは2回表、9番守屋来夢内野手(2年=平塚農商)の2点適時打などで3点を返した。

さらに2死二塁、遊撃がゴロをはじいた間に守屋がホームへスライディングする。タッチアウト。守屋は滑り終え、真横に落ちていたキャッチャーマスクを拾った。

「下に落ちてるものは拾って、その人に届けるのはありますし。バッティングに入る前にマスクをふいて渡したりとかも。なんか自然にしてきました」

ところが自分のバットで反撃ののろしを上げただけに、やはりテンションも上がっている。拾ったマスクをそのまま自チームのベンチへ持ち帰ろうとした。

ベンチ手前まで光明学園相模原の鶴島和真捕手(2年)が「あ、すいません」と追いかけてきた。守屋は「間違えました~」と笑って返した。

三塁を守る。バウンドした白球は、太もも横でふいてから投手に渡す。「自分も投手もやってるので、1球1球大事って分かってるので」。平塚農商では男子部員は5人(女子マネジャー1人)。連合チームも平日は各校での練習になり、チームプレーの練習はなかなかできなくても、フェアプレーやリスペクトの精神はしっかりと根付いている。

将来は「しっかり働いて、30歳くらいで自分の店を出せたら」と目配り、気配りのしっかりした若者は料理人を夢見る。1球の大事さをあらためてかみしめ、高校野球はもう1年残る。単独チームで、の思いだってある。でも意外と。

「今までの練習で仲良くなってきた絆とかもありますし、連合チームでも」

試合後、致命的なミスをしたわけではないのに、本戸笑夢内野手(3年=永谷)が自分のせいだと言わんばかりに両ひざを突いて泣き崩れている。

守屋はその横で同じようにひざを突きながら、左手で「俺たち、強い私立相手に3点も取れたんだぞ」と仲間の肩をバンバンとたたいていた。【金子真仁】

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