山形の熱い夏が今年も幕を開けた。第106回全国高校野球選手権山形大会の開会式が12日、ヤマリョースタジアム山形で行われ、45校41チームが参加。開会式後に行われた開幕試合では、山形工が東桜学館を13-8で破り、今夏一番乗りで白星を挙げた。山形工は伊藤優作外野手(3年)が2回1死一、二塁から、左中間に公式戦初本塁打を放つなど、13安打13得点の猛攻で初戦を突破した。
「いったな」と確信の一打は、伊藤にとって人生初の公式戦本塁打となった。「努力してきた結果がようやく実った」。応援席からの大歓声に高々と右手を突き上げて応え、笑顔でダイヤモンドを1周した。
チームで唯一、中学から野球を始めた。中学時代はレギュラーをつかめず、悔しさを晴らすため高校でも野球部に飛び込んだ。「ダントツで一番下手だった」。入学当初は仲間との力の差を痛感し、迷惑をかけることも多々あったが、下は向かなかった。「天気が悪くても風邪をひいても毎日バットを振った」。帰宅後、素振りはどんな時も欠かさなかった。逸見健太郎監督(42)は「試合に出場できないのに『よくこんなに振るな』と思うほど一番バットを振る選手だった」とひたむきな姿を見てきた。
1度だけ心が折れかかった。地道に練習を重ねていたが、今春のシード決定戦でレギュラー入りがかなわず「自分は代打くらいでしか出場できない。レギュラーは無理かもしれない…」。それでも同県大会初戦で、ラストチャンスにも近い先発起用で結果を出した。2本の三塁打を放って監督の信頼を得た。最後の夏の大会で、野球人生初の1桁の背番号をつかみ取った伊藤は「ここまで支えてくれた家族にいち早く見せたい気持ちでいっぱいだった」。指揮官から託された「7」の背番号を握りしめた日のことを振り返る。
チームにとっても大事な初戦で、伊藤は「5番左翼」で先発メンバーに名を連ねた。2打数1安打4打点で初戦突破に貢献。逸見監督も「改めて努力は裏切らないことを学んだ」と目を細めた。まだまだ夏は始まったばかり。入学当初一番下手だった伊藤は、チームをけん引するため力強くバットを振り続ける。【木村有優】

