智弁和歌山が近大新宮を4-2で破り、2年ぶり27度目の優勝をつかんだ。昨夏の和歌山大会初戦敗退からリスタートした中谷仁監督(45)率いるチームが悔しさをバネに、投打で強力なチームを作り上げた。投手陣は全5試合自責0で防御率0・00の無双状態。打線は準決勝まで全4試合コールド勝ちの破壊力だ。夏の甲子園に帰還し、3年ぶりの日本一を狙う。30日は愛媛で決勝が行われ、全49代表校が出そろう予定だ。

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悔し涙は381日の時を経て、うれし涙に変わった。9回に近大新宮の猛攻をしのいだ智弁和歌山ナインは、喜びを爆発させてマウンドに駆け出した。中谷監督は「よおやった!」と涙を流す主将の辻旭陽外野手(3年)らをたたえ、自身も感極まった。

「去年の初戦敗退から、このチームは長い長い1年を、この日勝つために選手たちとやってきました。本当にうれしく思います」

昨年の7月15日、高野山に2-4で22年ぶりの初戦敗退を喫し、6連覇を逃した。甲子園で戦うはずが突然生まれた日程の空白期間。中谷監督と塩健一郎部長(29)が交代でマイクロバスのハンドルを握った。片道6時間かけ、同校では8月異例の関東遠征を敢行。3泊4日で掛川西、横浜、東海大菅生、桐生第一の強豪校と練習試合を重ね、課題をあぶり出した。

公式戦を含め、新チームがこなした実戦は120試合以上にも及ぶ。「自分の役割に徹してくれる選手が増えた。『こういう場面は俺だろ』ってすぐ準備してくれて、結果を出してくれる」。この日は打撃が魅力の松本虎太郎内野手(1年)を二塁で起用し、6回に1点を先制すると守備力の高い井口恒星内野手(3年)を投入。0-0の4回に辻が出塁すると、快足堅守の高桑京士郎外野手(3年)を代走で送り、守備固めも兼ねたその高桑が7回に2点目のタイムリー。個々が持ち場で力を発揮できる新体制を作った。和歌山大会初の初戦から4試合連続コールド勝ちの猛攻は、中谷改革のたまものだった。

投手陣にも高いレベルでの競争を促し、強力な4本柱を形成した。この日は最速143キロの渡辺颯人投手(2年)が9回途中2失点で快投。144キロの松倉汐音投手(3年)、149キロの中西琉輝矢投手(3年)、147キロの宮口龍斗投手(2年)も盤石で、今夏5試合35イニングで自責0、防御率0・00と他校を圧倒した。投打に破壊力を増した智弁和歌山が、甲子園に帰ってくる。【古財稜明】

 

◆中谷仁(なかたに・じん)1979年(昭54)5月5日、和歌山県生まれ。智弁和歌山では2年時の96年センバツで準優勝。97年は主将を務め、同校初の夏の甲子園優勝。同年ドラフト1位で阪神に入団し、楽天、巨人でもプレー。現役時代は捕手で通算111試合に出場して打率1割6分2厘、4本塁打、17打点。17年春に智弁和歌山のコーチになり、18年8月に監督に就任。21年夏に日本一へと導いた。甲子園通算成績は9勝4敗(不戦勝含む)。

◆智弁和歌山 1978年(昭53)創立の私立校。生徒数は759人(女子334人)。中高6年一貫コース、編入クラス、スポーツコースがある。野球部は79年創部。部員は37人(マネジャー0人)。甲子園出場は春15度、優勝1回。夏は27度目で優勝は3回。主な卒業生は岡田俊哉(中日)、西川遥輝(ヤクルト)、林晃汰(広島)、黒川史陽(楽天)ら。所在地は和歌山市冬野2066の1。藤田清司理事長。

◆Vへの足跡◆

2回戦7-0笠田

3回戦7-0和歌山南陵

準々決勝12-0日高

準決勝7-0田辺

決勝4-2近大新宮

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