兄超えはかなわず、2年連続で初戦で涙をのんだ。エース吉田大輝(たいき)投手(3年)擁する金足農(秋田)が沖縄尚学に0-1で惜敗。7月末からの右太もも違和感の影響から先発を回避して3番手で登板した吉田は、18年の夏準Vに輝いた兄の吉田輝星投手(24=現オリックス)の成績を上回る日本一を目標に掲げていたが初戦敗退となった。
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スタンドへのあいさつを終えた吉田は号泣し、その場に崩れ落ちた。斎藤-佐藤凌の力投で無失点で受け取ったバトンを勝利につなげることができなかった。「いつもチームに迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ない気持ちです」。泣かないつもりだったが、自然と涙がこぼれた。
右太もも違和感からベンチスタート。それでも0-0の5回2死三塁でマウンドへ向かうと、大歓声を浴びた。直球で押し込み、1球で切り抜けた。自己最速147キロを計測も、7回に3安打を集められて痛恨の失点を喫した。「絶対に出ないコンディショニングではあったんですけど、仲間が背中を押してくれたり、応援のおかげで記録更新につながったと思います」と感謝の思いを口にした。
きれいな手のまま今年も球場を後にした。「甲子園に戻ってくる」と誓った昨夏に続き、最後の夏も初戦で去ることになったが土は持ち帰らなかった。「思い出にはなるけど、負けた土は欲しいとは思わなくて…」とぽつり。「自分は勝った土というか、優勝した土を持ち帰るつもりだったので」と真っ赤な目で話した。
高校入学からの2年半、兄輝星と比較されることは何度もあった。「正直、嫌なことしかなかったです。苦しかった時期もありました」。それでも「このままでは終わりたくない」と悔しさをエネルギーに変えて、ここまできた。「自分勝手なところや、プレー中も弱さをみせることが多かった」という以前の性格から、今では「仲間のために」とチームを最優先に考えるエースへと成長した。
7年前に「カナノウ旋風」を巻き起こした兄を超える「日本一」はかなわなかった。だが、ここで終わりではない。高校卒業後も野球は続ける予定だ。「(プロは)今の実力では、まだまだ追いつかないと思うので。いずれは兄と同じ舞台でやりたいと思っています」。まずは肩を並べ、いつかは超える-。“吉田兄弟″の物語はまだまだ続く。【木村有優】

