8強が出そろった。山梨学院は大黒柱を欠く逆境をはね返し、大垣日大(岐阜)に3-1の逆転勝利。左手首を骨折した主将の菰田陽生投手(3年)がベンチから仲間を鼓舞し、2年ぶりの8強入りを果たした。
大阪桐蔭は磨いてきた守備がここぞで光り、延長10回タイブレークの末に三重を6-5で下し春夏通算80勝。英明(香川)は東北(宮城)の追い上げを振り切った。専大松戸(千葉)は昨秋明治神宮大会優勝の九州国際大付(福岡)に逆転勝ち。27日、準々決勝4試合が行われる。
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超高校級はグラウンドに立てずとも、周りに与える影響力は計り知れない。左手首の骨折で今大会での復帰が絶望的な山梨学院・菰田が、圧倒的な存在感でベンチから仲間を鼓舞した。「チームをどうやって勝たせるか。試合に出てない分、周りを見て、視野を広くして、いつも以上に声をかけるのは心がけてました」と身を粉にしてサポートに徹した。
0-1の5回1死一、二塁の守備では伝令役を担った。マウンドで「落ち着いて、ニアベース(一番近くのベースからアウトを取る)だよ」と確認しあった。先発・渡部には「自分のピッチングをしてこい」と背中を押し、無失点で切り抜けさせた。同点の7回2死満塁の攻撃では「ここは力を抜いて、楽しんでいこう」と打席に立つ石井へアドバイス。石井はスライダーを中前へはじき返し勝ち越しの2点タイムリー。この日の投打の主役の陰に、身長194センチ、体重102キロの主将がいた。
チームにとって大黒柱の菰田を欠くことはもちろん痛手だが、そんな逆境こそが強固な結束力を生む。石井が「ベンチは菰田がやってくれていたので、プレーできる自分たちがつないでいくという粘り強さを見せられた」と言えば、渡部も「菰田さんがいない中で、全員でカバーして勝とうと思いました」と奮起した。
菰田は「勝ってくれて本当によかった。全員にありがとうと伝えたい」と笑顔を見せながら感謝した。注文をつけることも忘れない。「プレーに焦りがあったと思うので、そういう焦りが一番いらないと思う。次の試合は攻めの気持ちは忘れずやってほしいなと思います」。仲間のパフォーマンスが最大限発揮できるように。ベンチから今の自分にできることに全力を注ぐ。【平山連】
▽山梨学院・吉田洸二監督(56) 6回まで普段見せないようなミスが続き、菰田がいなくても団結して頑張るぞという思いが空回りしていました。仲間のために空回りする選手たちがかわいく思えて、私もすごく笑顔になって。そこから一気に緊張がほぐれて、生徒たちにも広がったのかな。
◆吉田監督が30勝王手 山梨学院・吉田洸二監督(56)が甲子園通算29勝目(歴代19位タイ)。今大会では八戸学院光星・仲井監督、智弁学園・小坂監督も30勝に王手をかけている。
○…競泳日本選手権男子50メートル、100メートルバタフライで2冠に輝いた中大2年の光永翔音(20)が、山梨学院の弟惺音捕手(2年)の応援に駆けつけた。自身も日大豊山で3年夏に東東京大会8強入り。野球との「二刀流」スイマーだった。トップレベルで競技を続ける上で弟たちの活躍が刺激になっているといい「昨秋から山梨学院の試合を見てきたので、一野球ファンとしても楽しみ」と声を弾ませた。

